【売野雅勇 我が道・番外】一目で恋に落ちたような…「兄貴」と呼ぶ親友・北原照久さん

[ 2025年8月12日 07:00 ]

「兄貴」と呼ぶ親友の北原照久氏(右)と筆者
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 僕には「兄貴」と呼ぶ親友がいます。それは「ブリキのおもちゃ博物館」館長で世界的なコレクターの北原照久さん。3歳年上の北原さんと僕は60歳を過ぎてから出会いましたが、一目で恋に落ちたような感覚がありました。

 出会いは北原さんがラジオ日本でパーソナリティーを務める「きのうの続きのつづき」。ドラマ「スクール☆ウォーズ」の主題歌として大ヒットした麻倉未稀「ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO」を作詞した人に会いたいと初めて自ら指名してくれたそうです。

 北原さんには難病に侵された友人がいました。彼を励まそうと麻倉さんが「ヒーロー…」を歌うライブ映像を送ったら、病室で繰り返し聴いていたご友人は元気を取り戻し退院したと言います。

 ラジオで北原さんにお会いした時に冒頭の歌詞♪愛は奇蹟(きせき)を信じる力よ――。について「言葉に魂が宿ることを体感した」と言われ感激しました。さらに「この歌詞を書いた人に絶対会いたい!と思った」と称賛され照れましたが、気持ちを真っすぐ伝えてくれる純粋さに引かれました。

 昔から知っているような不思議な感覚もあって番組の収録が終わっても別れ難く思っていたら、そんな気持ちを察してくれたのか北原さんが「食事に行きませんか?」と女性を誘うように提案してくれたんです。もううれしくて「行きます。はい!!」って笑顔で返しました。その日から北原さんは僕を「ウリ坊」。僕は兄貴と呼んでいます。

 実は兄貴は中学校を3年で“退学”させられていて、その時にお母さんから「人生はやり直しはできないけれど、出直しはできる。お前は気持ちも優しいし、タバコも吸わないから偉い」と言われた過去があります。

 「中学生でタバコを吸わないのは当たり前だろ!」と突っ込みたいところですが、その言葉で再起した兄貴は、越境入学した別の中学から本郷高校へ進学。試験で70点を取った時に担任の先生から「やればできるじゃないか!」と褒められたのをきっかけに、学年でビリだったのに猛勉強して全員ごぼう抜きにし、最後は首席で卒業。青山学院大学に進学するというドラマみたいな経歴です。

 心を許せる存在で、恋に似た感覚なんです。でもちょっと違って、この感覚に覚えがあって突き詰めて考えたら、中学の時にラジオで洋楽の番組を聴いていたワクワク感と同じと気づきました。

 レイ・チャールズの「愛さずにはいられない」はその声が耳に残り、ラジオを消した後も忘れられませんでした。兄貴への思いは、例えばナット・キング・コールの「モナ・リザ」を聴いた後の多幸感といえば伝わるでしょうか。幸せの余韻を残してくれる。「音楽のような人」という言葉を捧(ささ)げたい。

 今、兄貴は77歳。僕は74歳。年は重ねていますが気分は50歳ぐらい。これからも仲良く楽しい時間を過ごしたいです。

 ◇売野 雅勇(うりの・まさお)1951年(昭26)2月22日生まれ、栃木県足利市出身の74歳。企業のコピーライターなどを経て、81年作詞家に。中森明菜「少女A」、チェッカーズ「涙のリクエスト」、郷ひろみ「2億4千万の瞳」などのヒット曲を生み出した。これまでに1500曲以上の歌詞を制作。2026年に活動45年の節目を迎える。

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