西野七瀬 「一日一日が戦いでした」 事実上の初主演映画で重量感ある芝居
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【牧 元一の孤人焦点】俳優の西野七瀬(30)が3月20日公開の映画「少年と犬」(瀬々敬久監督)に主演した。もう1人の主人公・和正(高橋文哉)とともに、ある思いを秘めた犬・多聞と関わっていく女性・美羽役。西野は乃木坂46在籍中、映画に主演しているが、グループのメンバーが中心の映画だったことから、「少年と犬」が事実上の初主演映画と言っても過言ではない。この作品への思いを尋ねた。
──撮影はいかがでしたか?
「連日ヤマ場のような撮影でした。ずっと気を張っていて一日一日が戦いでした」
──主演の重圧はありましたか?
「それはあまり意識せずに撮影していました。カロリーの高いシーンが多かったので一日一日撮り切ることで精いっぱいでした」
──デートクラブ嬢で、重い罪を抱えているという役柄をどのように演じましたか?
「私は現場で役柄をつかんでいくことが多いんです。事前にセリフを覚えて現場で監督と話し合いながら作っていきました。お芝居の感じがイメージと違えば監督は『違う』と言ってくださるので、それを信じて自分が思うように演じました」
──罪を犯すシーンは大変だったのでは?
「このシーンの撮影が私の初日だったんです。そこに至るまでの感情を作らなくてはならないので、当日を迎えるまで不安でした。撮影はハードで、終わった時にどっと疲れが出たのを覚えています」
──犬との芝居はいかがでしたか?
「新鮮で楽しかったです。大型犬で力が強くて、急に走り出したりすることもあって、大変なこともありました。犬の気分があるので、見てほしい所を見てくれず、テイクを重ねることもあり、忍耐力が必要な時もありましたが、テイクを重ねていくうちに急にピタッとはまることがあって、ハッとさせられたことがありました」
──乃木坂46の先輩・AKB48のヒット曲「ヘビーローテーション」を歌うシーンが印象的です。
「時代設定の年に流行していた曲の中から明るめの曲が選ばれたのですが、偶然、大先輩の曲でした(笑)」
──過去にあの曲を歌ったことは?
「音楽番組のコラボで歌ったことがあると思います。歌うのはそれ以来ですから10年ぶりくらいでしょうか。振り付けをかすかに覚えていました」
──実際に歌っていかがでしたか?
「もちろん知っている曲なので問題なく歌えました。和正と2人でやけくそ気味に歌うのですが、シチュエーションに合っているのかいないのか分からない感じが良かったと思います。シーンとしても効いているのではないでしょうか」
──終盤に1人でまた「ヘビロテ」を歌うシーンも印象的です。
「私も普段、鼻歌を歌うことがよくあるので、あのシーンはその感じで歌いました」
──ロングとショートの二つの髪形で登場するのは?
「髪形でも月日の経過が表れていると思います。最初と最後で10歳くらい違うので、メークも話し方も変わっています。幅広い年齢を演じたのは初めてです」
──この作品を見ると役者としての重量感が増した感じがします。
「ありがたいです。『さらにどっしりしたね』と言って頂くこともありますね」
──重たい役柄だから、その重量感が効果的だと思います。
「良かったです(笑)」
──生活の変化が芝居に影響を及ぼすと感じることはありますか?
「あまり感じたことはないです。これまでの大きな変化と言えば、グループにいた時と1人になった時くらいですが…。作品を作っていく中で徐々に変わっていくことの方が多いと思います」
──余談ですが、以前熱中していた「謎解き脱出ゲーム」は今でも続けているのでしょうか?
「今もやっています(笑)。私は一度気に入ったらなかなか飽きないタイプなんです。謎解きもやっていますし、ゲームもやっています」
──この作品で得たものは何ですか?
「得たもの…。今はまだはっきりとは分からないですが、一つの作品を撮り切れた、頑張ったな、という思いはあります。完成した作品を見た時にそう思いました」
──この作品の見どころは?
「美羽を演じていたこともあって彼女の目線で作品を見ての話になりますが…。美羽は始めは助けてもらう側でしたが、多聞と和正に出会ったことで救われ、そして、救ってくれた多聞に力を貸します。彼女は多聞に出合わなければどうなっていたか分からないような人生ですが、出合ったことでちゃんと自分の罪と向き合って、多聞に力を貸すことに生きがいを見つけます。その変化にグッと来ました」
──重い物語ですがエンディングでは明るい気持ちになりますね。
「私も完成した作品を見て明るい気持ちになりました。始めの方は撮影中の大変さを思い出して感傷的な気持ちになりましたが、最後は前向きな気持ちになりました。この作品を見て歌詞を書いてくださった曲が最後に流れて、それがぴたりと映像にはまって、より素敵な作品になっていると思います」
──やはり過酷な撮影のことを試写の時に思い出しましたか?
「思い出しました(笑)。毎シーンが大変だったんです。毎シーンが充実していたとも言えますが…」
──演じきったことで役者としての深みが増したのでは?
「どうなんでしょう。それは見てくださる方々に感じて頂くことかもしれません。こういう表情、こういうお芝居をするんだと感じて頂けたらうれしいです」
──明らかに数年前とは違う役者に成長していると思います。
「本当ですか。うれしいです(笑)」
──役者の仕事は楽しいですか?
「楽しいです。飽きることがありません。悩むことも多いですが、悩む時間も楽しいし、それがないと成長できないと思っています」
──今後はどんな道を歩んでいきますか?
「一つの作品に出合えるチャンスはその時の一度きりなので一つ一つを大事にしたいと思っています。これまでと同じように焦らずに自分のペースで丁寧に作品を作っていきたいです」
◇西野 七瀬(にしの・ななせ)1994年5月25日生まれ、大阪府出身の30歳。2011年、乃木坂46に加入。17年公開の「あさひなぐ」で映画初主演。18年、グループ卒業。映画「孤狼の血 LEVEL2」(21年)で日本アカデミー賞優秀助演女優賞・新人俳優賞。映画「恋は光」(22年)でヨコハマ映画祭最優秀新人賞。
◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。
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