朝ドラ女優・井上希美さんが漫画編集者に転身 20年「エール」歌手・藤丸役で人気

[ 2023年11月4日 05:00 ]

女優から漫画編集者に転身した井上希美さん(撮影・会津 智海)
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 朝ドラ女優が漫画編集者に転身した。2020年のNHK連続テレビ小説「エール」などに出演した元女優の井上希美さん(31)が、昨年4月から幻冬舎コミックスに勤務していたことが分かった。初めて企画したコミックエッセー「はじめましてあかちゃん 赤ちゃんより泣いちゃう母親の絵日記」が発売後すぐ増刷が決まるなど好調な滑り出し。異例の転身を遂げ、大好きな漫画で女優時代に目覚めた物語作りの夢を追っている。(岩田 浩史)

 女優時代と変わらぬ明るい笑顔から本への強い思いがあふれ出す。作家usaoさんの妊娠生活や育児に関する漫画をまとめ、10月30日に発売。「先生は日常で感じるぼんやりした思いを“高い解像度”で描ける方」と強調。言語化しにくい感情、状況の描写が巧みだといい「共感したり、励まされたり、苦しいのは自分だけではないと思える作品」と魅力をアピールした。

 「エール」の歌手・藤丸や、19年のテレビ朝日「やすらぎの刻~道」の根来信子など、明るく元気な役柄を好演。だがコロナ禍を機に迷いが生じたという。「エンタメは不要不急との声に、私がしていることって何だろうと考えてしまった」。目の前の生活に困窮する人がいる中で「誰かを直接支えられる人になりたい」と考えるようになったという。

 女優業の意義や楽しさを突き詰める中「俳優は物語全体が持つメッセージを伝えるための一つのピース」とも感じていた。大切にしてきたのは「セリフなどで表面に出ない“行間”をくみ取って表現すること」。ならば「俳優でなくてもできるかもしれない」と考えたとき、浮かんだのは大好きな漫画だった。

 「小学生の頃から心の支えだった」という漫画。好きな漫画家を聞くと「樋野まつり先生、槙ようこ先生、いくえみ綾先生、あとは…」と、すらすら名前が口を突く。身の回りには、生きる力をくれる物語が常にそばにあった。そんな本を作りたいと思ったが「0から1を生み出す力」は自分にないと思った。ならば「編集者として作品に携わり、誰かに物語を届けたい」と次の道に決めた。

 ただ転職活動は苦戦したようだ。「俳優に裏方ができるのかと心配されたのかもしれません」と、出版社の採用試験や面接で不合格を重ねながらも昨年4月、編集者としてスタートを切った。
 漫画誌の編集部員となり、見る人に直接訴えかける役割ではなくなったが「物語を作る姿勢に乖離(かいり)はない」と、女優時代と変わらぬ気持ちでゲラ刷りやパソコン画面と向き合う。

 目標の一つは「やすらぎの刻」昭和編の漫画化。「本当に良いお話なのに、映像ソフト化されてない」と残念そうに語る。「その際は若い漫画家の方に描いてもらい、若い世代に読んでもらいたい。昭和の人の思いを令和の人につなぎたい」と、すっかり編集者になった目を輝かせた。


 ◇井上 希美(いのうえ・のぞみ)1992年(平4)5月8日生まれ、兵庫県出身。高校時代にNHK全国高校放送コンテスト朗読部門で4位、優秀賞受賞。2014年、劇団四季入団。「美女と野獣」のヒロイン・ベル役などを演じる。19年「やすらぎの刻~道」(テレビ朝日)で連続ドラマ初出演。他の出演作は22年「津田梅子~お札になった留学生」(同)など。1メートル63。


 ≪人気作家usaoさんの妊娠・育児に関するコミックエッセー≫ usaoさんはSNSで「元気が出る」「共感できる」と人気の作家。「はじめまして…」は、今年2月の出産に関する投稿漫画に加え、井上さんが「妊娠した時の気持ちなど、明かされていなかった部分を加筆していただき、再構成している」という。usaoさんが掲載を悩んでいた漫画もあったが「そこに先生が大切にする“読む人に元気になってほしい”という思いが最も表れていると思い、載せてもらいました」と編集者としてのこだわりも詰め込んだ。


 【会社員への異例の転身】
 ☆バラエティー制作 「パンケーキ食べたい~」のネタでブレークしたサン・ミュージック所属のお笑い芸人の夢屋まさる(25、本名:鈴木優)は、22年3月で芸能界を引退、同年4月よりテレビ朝日に入社。バラエティー番組の企画・制作を行っている。

 ☆アナウンサー 01~06年「モーニング娘。」5期生として活動した紺野あさ美(36)は、11年にテレビ東京に入社し、アナウンサーとして活躍。

 ☆住宅測量・地盤改良 プロ野球・西武などで活躍し、08年北京五輪で日本代表に選出されたG.G.佐藤(45、本名:佐藤隆彦)は、トラバースに入社し、千葉営業所所長や副社長を歴任。現在は退職し独立。

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