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【浜田剛史の目】距離を支配し互角の力を証明した中谷 11回尚弥の右アッパーなけば引き分けも

[ 2026年5月3日 05:00 ]

世界スーパーバンタム級4団体タイトルマッチ12回戦   ○統一王者・井上尚弥 判定3―0 WBA1位・WBC1位・WBO1位・中谷潤人● ( 2026年5月2日    東京ドーム )

<世界統一スーパーバンタム級TM 井上尚弥・中谷潤人>1回、中谷(右)に左を放つ井上(撮影・島崎 忠彦)
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 井上尚は大苦戦と言っていいだろう。戦前は7対3ぐらいの差があり、KOの可能性もあると思っていたが、中谷は互角の力があることを証明した。11回の井上尚の右アッパーが終盤の流れを決めたが、それでも私の採点は引き分けだった。

 ポイントは、中谷が終始、制していた距離だった。井上尚はパンチが届かず、踏み込んでもスエーでうまくかわされた。さらに、中谷は2発目を打たせないために、かわしてからパンチを返した。

 4回までは、このペースの取り合い。3、4回に井上尚がフェイントや頭を振る動きを入れ始めたのは、距離の長さを感じ、何とか打開しようとしたためだろう。中谷も右のパンチが出せなかった。

 8回に流れが変わった。勝負どころと感じたのか、井上尚が打ち合いに出た。ペースを握ったのは、それに応じた中谷。パンチが当たり始め、井上尚が空振り後にバランスを崩すシーンが出てきた。

 しかし、11回に再び流れが変わった。前に出た中谷に、守りながら返した井上尚の右アッパーが当たった。かなり効いたはずで、中谷の流れが止まった。最終回は井上尚がKOする可能性もあった。

 ジャッジの採点は3―0だが、11回の井上尚の逆転がなければ、引き分けもありえた試合だっただろう。
 井上拓は井岡をよく研究していた。井岡のボクシングはブロックして距離を詰め、相手の打ち終わりを狙うパターン。井上拓は左ジャブを突いて、井岡が詰めてきたところにカウンターを当てた。

 2回にダウンした右カウンターが効き、スピードが落ちた井岡に対し、やりたいボクシングをできたと思う。あえて言うなら、大観衆の前で一方的な展開であれば、KOを狙う姿勢を見せてほしかった。(元WBC世界スーパーライト級王者)

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