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対策徹底したが…京口紘人 コロナ感染で世界戦中止 ゴング前日の悲劇「本当にごめんなさい」

[ 2020年11月3日 05:30 ]

計量後、ツーショット写真に納まる京口(左)とタノンサック (撮影・亀井 直樹)
Photo By スポニチ

 WBA世界ライトフライ級スーパー王者の京口紘人(26=ワタナベ)が新型コロナウイルスに感染していることが2日に判明し、3日に地元・大阪で出場予定だった3度目の防衛戦はゴング前日に中止となった。前日計量の際に実施したPCR検査で陽性反応を示したため、日本ボクシングコミッション(JBC)はガイドラインに従い、中止を決定。新型コロナの感染拡大後、国内で初めてとなる男子世界戦は、予想だにせぬ結末となった。

 午前9時半開始の調印式・記者会見で王者と挑戦者が意気込みを語っていた、会見場。同じ場所で午後4時30分、世界戦の中止が発表された。JBCの安河内剛事務局長は王者の京口とチーフセコンドの50代男性の2人がPCR検査で陽性反応を示したとし「明日(3日)の世界タイトルマッチはJBCのガイドラインに従い、中止となりました」と苦渋の表情を浮かべた。2人は無症状で、ホテルで隔離状態にあるという。感染経路は調査中で保健所の指示を待っている。

 プロを統括するJBCは、ジム会長らで組織する日本プロボクシング協会(JPBA)と設置した協議会で興行再開に向けてガイドラインを策定。出場選手らにPCR検査などを課している。この日は前日計量の際に出場選手から検体を採取して検査を実施。午後1時30分ごろに京口の陽性が判明し、世界戦の中止が確定した。

 JBCによる中止発表後、京口はツイッターで「本当にごめんなさい」とつぶやき、関係各方面へ謝罪の気持ちを示した。他の出場選手やスタッフは全て陰性だったものの、感染リスクを考慮し、世界戦以外の試合も全て中止された。

 興行を主催するワタナベジムの渡辺均会長は「非常につらいし残念」と表情を曇らせた。収容人員の半分、約2000人の観客を入れる予定だった。コロナ禍で窮地にあるイベント関連業者が値引きして協力するなど、今回の費用は相場とは異なることもあり、中止による損害額について同ジムの深町マネジャーは「(算定は)これから。分からない」と頭を抱えた。

 ここまで、スパーリングなど“密”を避けようがない対人練習が必要なため、ジムではコロナ対策を徹底。常に換気に努め、確保した抗原検査キットでこまめに確認していた。先月31日の大阪入り後も、ずっと陰性だったという。

 今回の世界戦は新型コロナウイルス感染拡大後、国内では初めて外国選手を招いての世界戦で、人数制限はあるものの観客を動員する興行。来年に延期された東京五輪・パラリンピックに向け、スポーツ庁など関係機関から注目されていた。最悪の形で注目を浴びることとなり、コロナ禍でのイベント開催の難しさを改めて示した。

 ◆京口 紘人(きょうぐち・ひろと)1993年(平5)11月27日生まれ、大阪府和泉市出身の26歳。小6時に大阪帝拳ジムでボクシングを始め、辰吉丈一郎の指導を受ける。伯太高―大商大。アマ66戦52勝(8KO)14敗。16年4月プロデビュー。17年7月、プロ8戦目でIBF世界ミニマム級王座獲得し、2度防衛。18年12月にWBA世界ライトフライ級スーパー王座を獲得して2階級制覇。身長1メートル62の右ボクサーファイター。昨年11月に開設したYouTubeのチャンネルは登録者数14万人を超えている。

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