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井岡、感涙V1 最強挑戦者討ち 充実の19年“約束”通り勝利で締めた

[ 2020年1月1日 05:30 ]

WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦   〇王者・井岡一翔《判定》同級1位 ジェイビエール・シントロン● ( 2019年12月31日    大田区総合体育館 )

インタビューで涙する井岡(撮影・小海途 良幹)
Photo By スポニチ

 WBO世界スーパーフライ級王者・井岡一翔は同級1位ジェイビエール・シントロンに3―0で判定勝ちし、初防衛に成功した。6月に日本人男子初となる世界4階級制覇の偉業を達成した井岡は2019年の最後を勝利で締めくくり、2020年の飛躍を目指す。

 傷だらけの顔が誇らしげだった。令和最初の大みそかを白星で締めくくり、父親としての“初仕事”も終えた井岡は「息子が生まれて初めての試合で、自分の中でプレッシャーを感じていた。(インタビューで)そこを突かれて、こみ上げるものがありました」とリング上で涙ぐんだ瞬間を振り返った。

 4階級制覇王者としての初防衛戦。井岡は8月に誕生した長男・磨永翔(まなと)君の名前をトランクスのベルトラインに入れて臨んだ。「息子に勝った姿を見せたい」の思いが心を奮い立たせた。

 序盤は2大会連続で五輪に出場した経験を持つ技巧派サウスポーに苦しんだ。12センチのリーチ差と足を使ってアウトボクシングを展開する挑戦者にペースを握られる。

 「スピードもテクニックも距離も全てが想定より上だった。でも多少(パンチを)もらっても行くしかないと覚悟を決めた」

 果敢に前進を続けてボディー狙いでシントロンを消耗させ、活路を切り開いた。結果としてKOで仕留めることはできなかったが、令和元年に生まれた長男へ“約束”通りに勝利を届けた平成元年生まれの王者は「プレッシャーをかけて追い込んで自分が打ち込む場面をつくれたのが良かった」と胸を張り、「ああいうクレバーなスタイルの選手をチャンピオンにはさせたくなかった」と言い放った。

 現役復帰、離婚と激動の1年だった18年。19年は4階級制覇、再婚、長男誕生、初防衛と公私ともに充実した一年になった。そして東京五輪が開催される20年。「まだ見たい景色がある」と井岡は言う。先月23日に1年3カ月ぶりの再起戦を飾った元4階級制覇王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)らが対戦を熱望しているが、井岡は「一番やりたいのは統一戦」と明言。「次にロマゴンとか世界でも知名度の高い選手とやれたら」と続けた。09年のプロデビューから12年目。「ボクシング人生の先は長くない。一戦一戦重みが増している」という井岡が新たなステージを求めて飛翔する。 

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2020年1月1日のニュース