「虎投」犠打トップの裏側にコン、コン――、甲子園ファウルゾーンに響く「凡事徹底」の音

[ 2026年5月12日 11:45 ]

犠打を決める阪神・高橋(撮影・亀井 直樹)
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 阪神の先発投手はバント練習によく励む。外野芝生付近でトレーニングやランニングメニューを終えると、吸い寄せられるように、一塁側ファウルゾーンに設置された「バント練習コーナー」へ向かう。コン、コンと小気味良い音を立てて転がす姿は、甲子園における日常の風景だ。

 時には投手コーチが見守り、時には野手コーチからアドバイスが飛ぶ。チームのベクトルが「犠打成功」という一点に向いているのが、グラウンド脇の空間から伝わってくる。

 取り組みは、数字に如実に表れる。投手の犠打数14は、広島の10を抑えてトップ。打撃センスに定評がある高橋は小技も巧みで、投手ではリーグ最多タイの4個を決めている。

 マシンを相手に、高い集中力で転がし続ける才木も、同じく4個を数える。10日DeNA戦ではセーフティスクイズも成功させた。過去2年連続でチームの投手陣最多7個を決めたのも、地道な反復練習という確かな裏付けがあるからに違いない。

 昨年就任した藤川監督の大号令で、もともと高かった猛虎のバントの意識が一段上のステージに引き上げられた。DH制を敷くファームでさえ、「先発の1打席」が定着した。セ・リーグDH制導入で、投手が打席に立つのは今年が最終年。時代の区切りを前にしても、バントの構えに緩みは見当たらない。

 もちろん、犠打の多寡が勝敗に直結するとは限らない。総数が「3」で、投手にいたっては「0」という極端な数字のヤクルトが首位に立つ現実もある。ここで問いたいのはあくまで、チームとしての「約束ごと」とその熱量だ。「凡事徹底」を金科玉条のように唱える藤川監督の哲学が、投手のバント数という形になって表れている。

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