TDK・佐藤紅琉 大型遊撃手として期待される新人 体幹強化で肉体改造着々「ここぞの一打を出したい」
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社会人野球仕様の強力ボディーを手に入れつつある。TDKの新人・佐藤紅琉内野手(22)はチーム合流後、2カ月足らずで体重が1・5キロ増加。現時点でも1メートル80、80キロという大型ショートだが、さらに2キロ程度の増量を目論んでいる。
「先輩たちと比べると、体つきが全然違います。今はフィジカル面を鍛えることをすごく重視しています」
重点的に取り組んでいるのが、腹筋を主とした体幹強化だ。全体練習が始まる際のジョギングを終えると、自主的に6種類ある体幹メニューを2セットこなす。トレーナーや先輩からの情報収集も怠らない中で、新たに着目したのが「腸腰筋」。下半身から生み出されたパワーを上半身に効率よく伝えるための腸腰筋を鍛えることで、攻守両面でパフォーマンスの向上を期す。
2月下旬から行われた鹿児島・徳之島キャンプの前に古傷である腰痛を再発したものの順調に回復。4月上旬からはチーム本隊の打撃練習にも加わり、ライナー性の鋭い打球を何度も何度も飛ばした。
「痛みや痺れもなくなったので大丈夫です。ここぞの一打を出せるように頑張ります」
アクシデントにも前向きな姿勢を崩さないのは、辛い過去を乗り越えてきた強さがあるからだ。東日本国際大の3年夏。長い野球人生を見据えて、腰のヘルニアの内視鏡手術に踏み切った。
「1週間入院したんですけど、術後すぐは歩くこともできなかった。理学療法士さんに肩を組んでもらいながら、ようやく少し歩けるぐらいで…。これで、野球ができるようになるのかと不安でした」
Aチームに復帰するまで費やした時間は半年間。徐々に回復していったとはいえ、右足の感覚はなかなか上向いていかなかった。痺れが取れず、軽いジョギング程度でも平坦な地面で躓いた。焦りがなかったと言えばウソになるが、沈みそうな気持ちを奮い立たせてくれたのが仲間の存在だった。
「早く戻ってこい!待ってるからな!」
1学年40人ほどで、4学年では150人を超える大所帯。3年夏の新チーム結成時から主将を務めていた佐藤紅琉を同級生はもちろん、たくさんの部員が支えてくれた。
「家族や指導者の方もそうですが、仲間の存在がめちゃくちゃ大きかったです」
人生の財産とも言える大学の4年間。とりわけ固い絆で結ばれているのが藤木豊監督だ。初めての出会いは小学6年時。仙北ボーイズの練習会でシートノックを終えると、一人の大柄な男性に声をかけられた。
「良い選手だね。明秀日立で一緒に野球をやろう」
言葉の主こそ当時、明秀学園日立(茨城)のコーチだった藤木監督だった。中学時代も定期的に声をかけてもらい、その情熱に導かれるように同校へ進学。高校の3年間で野球の基礎をたたき込まれた。22年に東日本国際大の監督に就任したことに伴い、佐藤も同大学へ。指揮官と中心選手として濃密な時間を過ごす中、忘れられない出来事があった。
昨年3月30日に行われた東北社会人・大学野球対抗戦のトヨタ自動車東日本戦。その試合からベンチに復帰する予定だった佐藤は、自家用車で石巻市民球場を訪れた。駐車場に到着すると、藤木監督の車を発見。近くに停車して車内に目を向けると、藤木監督が意識を失って倒れていたという。佐藤が自らハンドルを握り、車で5分程の距離にある石巻市立病院へ緊急搬送。佐藤の迅速な判断、対応もあり、監督は一命を取り留めた。
そんな藤木監督が戦列に戻ってきたのは同年秋の明治神宮大会出場をかけた東北地区代表決定戦・東北福祉大戦だった。試合前。ミーティング会場に現れた指揮官は冗談ぽく「お帰り~」と言い放つと、ナインは「ただいま!」と出迎えた。その場面を思い出すと、佐藤は自然と笑顔になる。
「最後にまた、藤木さんと野球ができて、本当にうれしかったです」
遠く離れた恩人に活躍する姿を届けたい――。TDKのユニホームに袖を通し、新たなモチベーションが加わった。
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