阪神・木浪聖也 今季初打席で代打決勝打 “原口魂”激走ヘッスラで遊撃奪還アピール

[ 2026年3月30日 01:15 ]

セ・リーグ   阪神12―6巨人 ( 2026年3月29日    東京D )

<巨・神>8回、勝ち越しの適時内野安打を放ちガッツポーズを決める木浪(撮影・大森 寛明)
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 裂けて破れたユニホームが勲章だ。8回、同点に追いついてなおも2死二、三塁で、阪神・木浪が代打で登場した。巨人の内野は二遊間を締めるシフトを敷き、一、二塁間がぽっかり空いていた。「そこまでごちゃごちゃ考えていなかった」と言うが、追い込まれてからの中川の145キロを引っ張ると、鈍い打球が一、二塁間へ転がった。

 迷うことなくヘッドスライディング。二塁の浦田は間一髪のタイミングと見て焦ったか、ジャッグルした。その間に、三塁走者のみならず、二塁走者の坂本まで生還した。記録は2点内野安打。伝統の一戦の開幕カードでの代打決勝打は、球団初になった。

 「出たところで自分の仕事をできるかを大事にしたいので、それが1発目にしっかりできたのはよかった」

 執念じみた一打に充実感をにじませた。その、泥くさい姿は、昨季で引退した原口文仁さんと重なった。

 昨年10月の引退セレモニーで、「普段、泣くことはないんですけど」という木浪の目から涙があふれた。がんを克服した壮絶な野球人生、一切の妥協を許さない練習姿勢は最高の手本だった。

 忘れられない光景がある。ルーキーイヤーの19年6月4日。病気からの復帰戦だった原口さんが代打での二塁打で、ヘッドスライディングをした。ドラマのような一打を、ネクストで鳥肌を立てて眺めた。2軍生活に沈み、自分を見失いかけたときは「2軍に染まるな。聖也は聖也であり続けろ」という言葉が心を支えてくれた。

 原口さんが去ったシーズン。最初の打席で、7年前に胸を震わされたように、頭から飛び込んだ。逆境でも絶対に下を向かないのは、2人に共通する不屈の美学だ。この一打は反撃の合図。「まだ始まったばかりなので、(控えを)どうこう思うこともない」。今季掲げたモットーは「奪還」。遊撃を取り戻すまで、戦いは終わらない。(倉世古 洋平)

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