常松広太郎の生き方「人生に悔いなく…野球にチャレンジ」慶大4年“夜の安打製造機”カブスとマイナー契約
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カブスとマイナー契約を結んだ慶大・常松広太郎外野手(22)が、本紙単独インタビューに応じた。慶応湘南藤沢(神奈川)出身で大学4年時には春秋のリーグ戦で計4本塁打のスラッガーは、ドラフトでは指名漏れも経験した。米金融大手のゴールドマン・サックス(GS)から内定をもらいながら、海を渡る決断を下した理由とは。米挑戦への思いを聞いた。(取材・構成=柳原 直之)
――今回の経緯について。
「大学3年夏から冬にかけて外資系投資銀行を志望して就職活動をし、GSから内定を頂いていました。4年時は野球に集中し、ここで野球を辞めることも考えましたが、プロ志望届を提出して結果を見て、決めようと思うようになりました。ドラフト指名はされませんでしたが、ありがたいことにカブスから話を頂くことができました」
――どんな形でオファーを受けたのか?
「大リーグ球団のアジア担当のスカウトの方々は東京六大学のデータを入手していて、一芸に秀でた選手をリストアップしています。僕の場合は長打率や打球速度を評価していただきました。打球速度はライナー性の打球でマックス180キロくらいは出ていたと聞いています」
――GSの内定を断り、カブスのマイナー契約を選んだ決め手は?
「もちろんGSに行くことも凄く良い選択肢だと思います。今でもGS社員の方々のことが大好きです。ただ、人生をトータルで考えた時に、自分が死ぬ時に、悔いなく終わりたい。ここでGSに行くこともエキサイティングですが、野球にチャレンジしたかったと思うのではないかと思いました。世の中に元カブスや、カブスを経てGSの人はなかなかいないですよね。そういう経歴をたどっている人がいたら周りからしてもちょっと話聞いてみようかなっていうふうには思っていただけるんじゃないかなと思いました」
――家族やチームメートなど周囲の反応は?
「みんな楽しみにしていると言ってくれています。父も常に背中を押してくれます。チームメートも“やっぱりお前はそうするよね”という感じの反応でした。GS社員の方々も“まずはチャレンジして、その後も連絡を取り続けよう”みたいな感じで応援してくれています」
――期間を決めてチャレンジするという意向があるのか?
「自分の中である程度期間を決めてしっかり集中した方が、客観的な判断ができるんじゃないかと思っています。ただ、振り返ってみて、いつ伸びた、いつ成長したかというものは突然来るものです。そういう部分も、自分の中での予感とかはあるかもしれないので自分の判断に加味していきたいと考えています」
――ニューヨーク育ちで大リーグは身近な存在だったか?
「父が勤めていた会社がヤンキースタジアムに取引先を接待する部屋を持っていて、常にアクセスできる状態で、小学生の時から年間10回以上はそこに同席していました。父の取引先の家族などを招いて食事を取りながら観戦するような形ですね。当時のヤンキースはイチローさんがいて、その後に田中さんも入団してというような時期でした。今でも僕はヤンキースファンです」
――現在の練習内容は?
「大学時代からお世話になってるトレーナーのところに週4回ぐらい通っています。ウエートは本当に重点的にやっていて、技術的なとこはやっぱり向こうに行ってみないとどうアジャストするか分からない部分もあるので、これまでやってきたことをベースに結構早めから実戦が始まるって聞いてるので、そこに合わせられるようにしっかりやっていきたいと思っています。今の体重は91、92キロぐらいですが、95、96キロにはしたいなと思っています」
――パワーは今後も伸ばしていきたいところか?
「もちろんそうですが、それ以上にマイナーはパワーをはじめ何か凄い秀でている選手が多い。僕の場合はパワーに加えて対応力を磨いていくことで、自分の評価を上げていけるんじゃないかなっていう風に考えてます」
――守備や走塁に関して。
「肩は自信があります。測ったことはないですが100メートルくらいは投げられると思います。一方で外野手なので、打たないと、使ってもらえない。しっかり安定的な守備は見せていきたいです。走塁に関しても、自分の中ではもっと意識的に取り組んでいかないといけないと思っています」
――東京六大学野球の中継で自身のキャッチコピーを“夜の安打製造機”と記載したことがSNSで話題になった。
「3年春にロッカーでみんなでアンケートに答えていて、先輩や同級生に“それだろ、お前は。絶対いいじゃん”みたいな感じで言われて決めました。実際、飲み会を主催することもありますし、そういう場面で男女問わず次につながるような人付き合いをするのが好きなので人間関係を構築しているという意味で、信頼されているのかなと思うところはあります」
――将来の夢は?
「1つ目は野球選手として憧れのメジャーの打席に立つことです。2つ目は僕の周りに全員を巻き込んで、何か大きいことをやって、日本全体を盛り上げたいと思っています。この国は人材のレベルの高さは群を抜いていると思っていて、それは教育水準であったり、接客の質であったり…。過小評価されていると思っています。もっとポテンシャルはあるし、もっと面白い国になると思っています。今年の主将を務める今津は後輩ですが大親友と思っています。彼の将来の夢は総理大臣になることです。彼のような優秀な友達がたくさんいるので、みんなで何か面白いことをしたいなと思ってます」
≪厳しいマイナー生活 きっと楽しんで乗り越えられる≫【取材後記】慶大の野球部合宿所で行われた今回のインタビュー。常松は丸の内や大手町で働くビジネスマンかと思うくらい大人びていた。
「今は95%ぐらいの人は応援してくれていますが、それが逆転するタイミングが絶対ある。結果的に大成功したとしても、その過程で周囲から後ろ指をさされる。だから、自分を隠す必要はないし、本音でぶつかっていきたい」。熱く夢を語るだけでなくて冷静に現状を客観視もできる。
一方で「神宮でチャンスで凡退して守備位置に戻ると外野席から“お前、昼も打てよ”とか、めっちゃヤジられるキャラなんですよ」と屈託なく笑う姿は人間味があふれている。厳しいマイナー生活も、常松ならきっと楽しみながら乗り越えるはずだ。(MLB担当・柳原 直之)
◇常松 広太郎(つねまつ・こうたろう)2003年(平15)10月27日生まれ、横浜市出身の22歳。小1から野球を始め、小4から小6までは父の仕事の都合で米ニューヨーク州ライ市で過ごす。慶応湘南藤沢中、同高を経て、慶大では3年春にリーグ戦デビュー。好きな言葉は「粗にして野だが卑ではない」。1メートル85、92キロ。右投げ右打ち。
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