社会人野球シティライト岡山の丸山高明主将が引退「会社のため、社長のために決めた」

[ 2025年12月10日 05:30 ]

引退を決めたシティライト岡山の丸山。21年10月1日の都市対抗中国地区予選・三菱自動車倉敷オーシャンズ戦で初回先頭打者本塁打を放つ(提供写真)
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 日本野球連盟は12月8日に2025年度の社会人野球ベストナインの表彰を行い、1年を締めくくった。プロよりも選手の入れ替わりが激しい社会人球界。シティライト岡山(岡山市)の主将・丸山高明外野手(32)は、今季限りでの引退を決めた。

 11月某日、岡山市内で丸山に会うと、一種の違和感を感じた。今季限り、正確には6月の都市対抗中国地区予選の敗退を機に引退したはずなのに、肩幅が広くなっている気がしたのだ。こちらが思ったことを口にすると、照れ笑いしながら大胸筋を突き出した。

 「ボディビルダーを目指していますんで(笑い)。冗談です。野球を引退して自己肯定感を上げる1つの方法が、ウエイトトレーニングなんです」

 選手時代と同様、自分に厳しくあり続ける姿と、さわやかな笑顔は変わっていなかった。

 小3からソフトボールを始め、中学では岡山メッツで硬式野球。玉野光南では甲子園出場を果たせず、東都リーグの強豪・亜大へ進んだ。同期には藤岡裕大(現ロッテ)、板山祐太郎(現中日)、北村祥治(現トヨタ自動車)らそうそうたるメンバー。下級生にも逸材がどんどん入部してくる中で、出場機会を得ようと必死だった。

 3年春のリーグ戦で初出場し、駒大・今永昇太(現カブス)から代打でリーグ戦初打席初安打。リーグ優勝した4年秋は、明治神宮大会初戦の立命大戦に「6番・左翼」で出場し、巨人からドラフト1位指名を受けた桜井俊貴(現ミキハウス)から先制の決勝二塁打を放った。準決勝以降は「3番・右翼」で出場し、日本一に貢献した。

 卒業後は関東地区の強豪チームでプレーする選択肢もあったが、父・明さんが創業した中古車販売業のシティライトを母体とする「シティライト岡山」を選んだ。10年間の社会人野球生活の中で一番の思い出は、主将に就任した2019年に創部12年目にして初の都市対抗出場を果たしたことだ。

 「結果的に一番、濃かったというか。(東京ドームに)チームのロゴが出ていてね。それまでは“自分、自分”だったけど、チームのことのみを考えてやれた年だったんで」

 1回戦で宮崎梅田学園(宮崎市)との初出場対決を4―3で制して悲願のドーム1勝。秋には日本選手権にも初出場した。

 シティライトでの現在の役職は代表取締役副社長。立場的にも野球の実力的にも、自らが望めば現役を続けることはできた。それでも、丸山は一線を退く決断をした。創業者の長男として、将来的に会社を継ぐためだった。

 「(父・明社長は)ずっと“早く社業に専念してほしい”っていう考えがあったみたいです。僕が会社のため、社長のために、自分で決めないとならないと思った」

 引退が夏の都市対抗予選後だった理由は、もう一つあった。

 「今回の予選が岡山開催だったんですよ。応援してくれる地元のみんなの前で“ありがとうございました”と言って、(会場の)マスカットスタジアムで終わりたかった。もちろん、東京ドームに行けたら一番だったんですけどね」

 秋の日本選手権を目指すことなく夏で終わることは、スタッフと新主将の谷本大晟ら数人にしか伝えておらず、若い選手たちには驚かれたという。

 現在は仕事で全国各地を飛び回る多忙な日々を送る。わずかな休日には野球教室を開催し、技術指導とともに、野球の経験が現在にどう生きているのかを伝えている。

 「野球を25年近く続けられたのは、家族含めいろんな方々のおかげであり、野球が好きだから。そして自分を成長させてくれていると感じたから。自分が与えていただいたように“成長できる環境”を提供して、シティライトの皆さんと一緒に成長していく。そうすれば、もっと素晴らしく活気ある組織になると思います」 

 シティライトの社名の由来は「岡山の町を明るくしたい」という明社長の思い。そこから「スポーツの力で岡山を元気にする」と発展し、シティライト岡山の創部や競技場のネーミングライツ取得などにつながってきた。丸山の思いは家業を共にする弟・真明さんや、後を託す野球部のメンバーにも及んだ。

 「弟は玉野光南、中央大、シティライト。違うのは大学だけで、今は一緒に働いています。兄弟でどこにも負けない組織をつくっていきたいですね。野球部はかわいい後輩ばかり。自分の目標でもあった全国ベスト8を達成してほしいですし、全力でサポートします」
 選手としては区切りを付けたが、野球を通じた丸山の夢は始まったばかりだ。(石丸 泰士)

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