イチローさん 思い出の球場でイズム注入「しんどいところを越えて一歩前へいけるか、日々のテーマに」

[ 2025年11月10日 05:04 ]

中越高校の野球部員を指導するイチローさん
Photo By 代表撮影

 マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチローさん(52)が9日までの2日間、新潟県長岡市を訪れて今夏の甲子園大会に出場した中越を指導した。2020年から始めた高校野球の指導は6年連続12校目。初日だった前日8日にはオリックス時代の1993年6月12日に野茂英雄(近鉄)からプロ初本塁打を放った思い出の悠久山野球場で打撃実演するなど、イズムを注入した。

 長岡市の悠久山野球場。入ってすぐの展示コーナーには「オリックス・鈴木」と「近鉄・野茂」のユニホームが飾られ、93年6月12日のプロ1号を伝える新聞記事も添えられていた。登録名「イチロー」になる前年の出来事。イチローさんは「面白いね。鈴木と見ると、おかしいってなってくる」と懐かしみ、「追い込まれたら相手の決め球を待つという考えは、野茂さんとの対戦から生まれた」と振り返った。

 訪問のきっかけは1月下旬に中越の部員から届いた「思いが詰まった手紙」だ。地方大会から注目し、7年ぶりに出場した今夏の甲子園大会の試合も「クーパーズタウンで見ていた」という。8強入りした関東第一(東東京)との初戦に1―6で完敗。「差はどうだった?」と問いかけて指導は始まった。

 ランニング実演では「歩幅が大きい」という部員の回答に感心。「いいポイント。股関節を広く使っているから。シンプルな動きが大事」と訴えた。63スイングで9本の柵越えを放って打撃などでも手本を示し、「しんどいところを越えて一歩前へいけるか、を日々のテーマにしてください」と呼びかけた。

 2日目は学校グラウンドを訪問し、午後には座学。質問にも答えながら1時間以上にわたって、「努力が報われない…というのは凡庸。習慣づければ努力と思わなくなる」などと野球観や人生観を伝えた。「中越高校はよく見て、感じて、考える。いい伝統があるのがいい」。6年目で北信越地域の学校は初指導。“イチローの教え”がまた広まった。

 ▼中越・本田仁哉監督 濃密なお教えと、お力をいただいた2日間だった。方向性は間違っていなかったと実感できた。

 ▼中越・宮崎翔矢主将 夢のような体験であっという間だった。どう結果に結びつけるか。新潟にはこういうチームがあると知らしめたい。甲子園で勝ちたい。

 ≪初日には連合チーム初指導≫初日の8日だけ糸魚川白嶺、高田商、新井、柏崎常盤、柏崎総合の5校で組む連合チームの18選手も参加した。近年増える連合チームをイチローさんが指導するのは初めて。「いまの高校野球を象徴しているとも言える。初めて交流するので現状を知りたい思いもある」とまずは中越との練習試合をバックネット裏から見守った。

 4イニング制でスコアは0―6。「とにかく基本で。キャッチボール、走る、立っている姿勢から。しっかりとした絵を描いてほしい」と訴え、「週末しか(練習を)できない。難しいけど、挑んでいく気持ちで。社会に出ても役立つ。焦らず、ゆっくりと、形をつくることが大事」とエールを送った。野球人口が減る中、新たな未来図も思い描いた。

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