【内田雅也の追球】秋分に思う栄光と教訓

[ 2025年9月24日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神2―2DeNA ( 2025年9月23日    横浜 )

<D・神>延長10回、植田は空振り三振に倒れ、一走の中野は二盗を阻止されて併殺に(撮影・会津 智海)
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 阪神はことごとく作戦が裏目と出て、勝てる試合を引き分けた。走者を動かせば、必ず憤死するという悪循環だった。

 順に書きだしてみる。

 2回表、四球と敵失で無死一、三塁。二遊間は二塁併殺の守備体形だったが三振で1死。ここで一塁走者スタートのヒットエンドランを仕掛けたが、遊飛が上がり、ギャンブルスタートを切っていた三塁走者は戻れず、併殺となった。

 延長10回表は1死一塁からバントで送れず、フルカウントからのランエンドヒットで空振り三振・二盗憤死の併殺。

 11回表は1死一塁からのヒットエンドランで空振り三振・二盗憤死でまたも併殺を喫した。

 8回表1死一、二塁での遊ゴロ併殺打とあわせ、4併殺の拙攻だった。

 クライマックスシリーズ(CS)、日本シリーズに向けての課題である。教訓としたい。バントやヒットエンドランなど細かな作戦を再度徹底する必要があるだろう。何しろ、今季は犠打も盗塁数もリーグ最多で機動力を駆使しながら得点力を高めてきた打線なのだ。

 「作戦等々、同じようなことになりますね。野球の流れと言いますか……」と試合後、監督・藤川球児は課題は百も承知といった顔でいた。「もちろん、しっかりやっていかないといけません」

 この日は彼岸の中日、秋分の日だった。祝日法では「祖先をうやまい、なくなった人をしのぶ日」とされている。

 元監督、ゼネラルマネジャー(GM)だった中村勝広の命日だった。GM在任中の2015年、遠征先の東京で脳出血のため急死した。66歳。あれから10年がたつ。

 お別れの会で吉田義男が弔辞を読んだ。「あなたの魂は永遠に消えることなく、同じ志を抱くものの心を照らし続けるでしょう。教え子たちは必ずや墓前に大いなる栄光をささげるはずです」

 同年オフ、新監督に金本知憲(本紙評論家)を迎え、「一度壊してしまってから建て直す」と「超変革」に動いた。補強に頼らず、自前の選手を育成する「骨太の方針」である。方針は実り、一昨年、今年と生え抜きをそろえた選手たちで優勝を果たした。今が栄光の時なのだ。泉下で中村が喜ぶ顔が目に浮かぶ。

 レギュラーシーズン最後の敵地での一戦だった。残り4試合はすべて甲子園だ。本拠地で腰をすえて来たるべき勝負に臨みたい。 =敬称略= (編集委員)

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