エンゼルス・菊池雄星が語る 岩手発メジャーへの道 ドジャース・大谷、佐々木と3人の故郷
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エンゼルスの菊池雄星投手(34)が単独インタビューに応じた。故郷の岩手が3人のメジャーリーガーを生み出した理由や、岩手県花巻市内に昨年11月に設立した複合野球施設「King of the Hill(K・O・H)」などについて言及。侍ジャパンの一員として来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)への出場にも改めて意欲を示した。(聞き手・笹田幸嗣通信員)
――ドジャースの大谷、佐々木を含め、メジャーに岩手県出身選手が3人もいる。
「うれしいですね。20年前を考えると、岩手だからできないという気持ちでした。僕がプロ野球選手を目指す、甲子園で優勝を目指すと言った時も、岩手だから無理だよと、枕ことばのようについて回っていましたね。それが今、逆に岩手だからこそできるという意識に変わっていけばいいなと思います」
――3人も大リーガーが出た理由は?
「“俺でもできるんだ”という連鎖があると思います。(09年に岩手勢初の選抜準優勝、同90年ぶりの夏の甲子園4強)僕が甲子園で勝ち進んだのは“最初”かもしれませんけど、その前(04、05年)には駒大苫小牧が北海道勢で優勝し、僕も北国でも勝てるんだと認識が変わり、花巻東に進みました」
――以前「岩手には優しく見守ってくれる文化があると思う」と話していた。
「今はなるべく部内競争はない方がいいのではと思っています。僕がいた頃の花巻東は全く部内競争はなく、同じ学年に投手は僕だけでした。部内競争がなく、3年目に勝つという目標意識でした。今は花巻東も強豪校の一つですが、当時はそうではなかったので、それも良かったのかなと思います」
――佐々木監督の長男で、花巻東の後輩のスタンフォード大の佐々木麟太郎もいる。
「ご飯の食べっぷりが凄く良くて、こんな食べる人がいるんだと思いながら見ています。ぜひ(今後も)米国で戦うと選択してほしい。米国ではい上がってほしいな、というのが僕の気持ちです」
――米国の舞台で対戦したい?
「戦うのも夢ですが、その頃にはだいぶ年を取っていると思うので、一緒のチームになれたら、それはそれでうれしいです。それまで頑張りたいですね」
――花巻東の近くに建てた「K・O・H」への思いは?
「環境が全てです。環境とは何かと言ったら“人”だと思います。施設をつくったのはハード面で必要だったから。実際、マウンドはどこであっても一緒で、トレーニング場も大きくても畳3畳でやっても、やることは基本変わりません。環境は“人”でできています。岩手にはたくさん原石がいるので可能性を伸ばしてあげたい」
――来年3月にはWBCが控える。
「無事にシーズンをケガなく終わらせて、数字を残した先に必要とされて、もしチャンスを頂けるのであれば、前のめりに考えたいなと思いますね」
――侍ジャパンの井端監督は、前回大会のダルビッシュのような役割も期待している。
「無理でしょう(笑い)。極力若手の邪魔にならないように、変にポジションを取らないように、普通に自然にいられればいいなと思いますけど」
――若手から聞かれることも多くなる。
「7年間米国にいて本当に(日本の)選手を知らない感じなので、コミュニケーションをしっかり取るところから。それで連覇への力になれればと思います。今季をしっかり終えて、そういう話をできればと思います」
――日本の若い選手たちも勉強熱心。
「僕の施設(K・O・H)にも昨年は12、13人はプロ野球選手が来てくれました。昔とは全然違い、みんなトレーニングするのも、データを見るのも当たり前です。海外に行って勉強するのも、自己投資を惜しまなくなっています。そういう向上心ある選手たちと一緒にプレーできるのなら、僕にとっても勉強になると思います」
◇菊池 雄星(きくち・ゆうせい)1991年(平3)6月17日生まれ、盛岡市出身の34歳。花巻東から09年ドラフト1位で西武入り。17年に最多勝、最優秀防御率のタイトルを獲得。18年オフにポスティングシステムでマリナーズに移籍し、ブルージェイズ、アストロズを経て、FAとなった昨年11月に3年総額6300万ドル(約93億円)でエンゼルスと契約。1メートル83、95キロ。左投げ左打ち。家族は元フリーアナウンサーの瑠美夫人、長男・レオ君。
≪念願侍ジャパン要請には前向き≫菊池はアマチュア時代を含めても侍ジャパンに縁がない。花巻東3年夏の甲子園では大会中に肋骨を骨折し、直後の日米親善高校野球大会の招集が見送られた。西武でキャリアハイの16勝6敗、防御率1・97を残した17年は、第4回WBC直後のシーズンだった。今年2月、侍ジャパンの井端監督がエ軍キャンプ地を訪れ「投手陣を引っ張ってほしい。軸としてやってもらえれば」と早くも出場を要請。菊池も「健康であれば前向きに考えたい」と語っていた。
【取材後記】次代の子供たちへメッセージを聞くと「僕でもできたから」という答えが返ってきた。
小中学生の頃は野球がうまかったわけではなく、プロ入り時には昔を知る仲間から「なんであいつがプロに行ったの?」とも言われた。エンゼルス投手陣で最高年俸2100万ドル(約31億円)のエースに成長し「野球を好きになり、練習を続け、誰よりも練習する。こんな僕でもできた。だから君でもできるんだよっていうのは伝えていきたい」と言う。
19年のメジャー初勝利前に父・雄治さんは他界。生前に「偉ぶるのではなく“田舎の野球好きの兄ちゃん”がアメリカでも頑張っている。そんな姿を岩手の子供たちに見せてほしい」という言葉を残した。亡き父の思いは息子にしっかりと伝わっている。 (MLB担当・笹田幸嗣通信員)
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