【内田雅也の追球】明暗分けた投手バント

[ 2025年7月17日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神0―6中日 ( 2025年7月16日    甲子園 )

<神・中>3回、才木はスリーバント失敗(投手・高橋宏)(撮影・北條 貴史)
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 投手戦に決着がつく原因は意外と投球以外の部分が多い。打たれた、抑えたという投球で白黒がつくのなら納得もいくだろう。だが、投手自身の守備や打撃が明暗を分けることもある。

 阪神・才木浩人が中日・高橋宏斗との投手戦に敗れたのは、投球ではなく、投手の打席での送りバントだった。

 3回裏無死一塁で才木の打席。初球、バントから打ちに出るバスターを見せボール。だが2球目以降は3球連続でバントがファウルとなり三振(スリーバント失敗)。走者を進められなかった。

 一方、0―0で進んだ6回表無死一塁、今度は高橋宏の打席。投前に送りバントを決められた。

 5回表2死まで1人の走者も許さず、パーフェクト投球だった。初めて得点圏に走者を背負い、緊迫度は増したことだろう。高橋宏の好調ぶりから1点勝負が見えていた。

 1死二塁から2死一、三塁となり、上林誠知にフルカウントから高め151キロ速球を中堅右にはじき返され、2者が還った。投手戦に決着がついたわけだ。

 敗戦後、監督・藤川球児もバントの明暗を指摘した。「ゲームという点で言えば、投げること以外のところがね。才木はバントを決められず、向こうはしっかり決めた。これがセ・リーグの野球なんでね」

 記録担当によると、今季、才木の犠打成績は企図8回目で5回目の失敗だった。走者を送れたのは3回で、成功率3割7分5厘でしかない。

 ふだんからマシン相手にバント練習をする光景を目にするが、いまだ課題と言えるだろう。

 さらに阪神投手陣全体でみてもバントは大いなる課題だ。企図42回で成功21回、失敗21回と半分しか送れていない。2ストライク後、バスターなどに作戦変更するケースもあり、実際の成功率は5割を下回る。セ・リーグ他5球団はすべて成功率7割を超えており、阪神は最低なのだ。

 チーム犠打数90はリーグ最多だが、うち投手の犠打は21しかない。これは、この夜のような投手戦では傷口となる。

 首位独走で「死角がない」などと言われる阪神だが、こんなところに難点があった。ならば、穴を埋め、苦手を克服するまでである。 =敬称略=
 (編集委員)

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