東京六大学リーグで学生野球初の「ビデオ判定」 元プロ野球審判員が語る「メリットと注意事項」とは

[ 2025年4月10日 17:47 ]

都内で行われた理事会に出席した慶大堀井監督(中央)、早大・小宮山監督(右)ら(撮影・柳内 遼平)
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 創設100周年を迎えた東京六大学野球連盟は10日、都内で理事会を行い、12日開幕の春季リーグ戦から映像による判定検証を導入することを決定した。

 既に日本野球機構(NPB)のプロ野球、日本野球連盟(JABA)が行う社会人野球の都市対抗で導入されているリプレー映像での判定検証だが、学生野球で導入されるのは初となる。各チームがリプレー映像による判定検証を要求できるのは1試合で1度。検証の結果、判定が覆った場合は回数としてカウントせず、もう1度要求できる。

 07から18年までNPB審判員を務め、オールスターゲームに出場した実績を持つ坂井遼太郎氏(39)に「ビデオ判定」を行うメリットと、注意事項について聞いた。(聞き手・アマチュア野球担当キャップ 柳内 遼平)

 ――坂井氏はリプレーによる映像検証がない時代からプロ野球で1軍のグラウンドでジャッジしてきました。実際に「ビデオ判定」が導入された際、現場でどう感じたのか教えてください。

 「やはり人間がやることなので、どうしてもミスがあります。従来は判定した後、審判員に“間違えてしまった…”という感覚があっても、判定を変えることができませんでした。映像を駆使して正しい方向に判定を変えることで審判員の気持ちも楽になりますし、誹謗中傷を受けることも減りました。映像を見ることで感覚のズレを直すこともできます。ミスジャッジを引きずることがなくなり、メンタル的に整理できます。あとはこれまで判定が正しいにも関わらず、“間違えた”と見られてしまうこともありましたが、映像を見ることで“潔白”を証明できるようになりました。チーム、選手、ファン、審判員にとって良い制度と捉えています」

 ――NPBでは「ビデオ判定」を導入する際に現場の審判員から反対の声はあったのでしょうか。

 「設備面が十分に整っていないという理由で導入への反対意見はありましたが、映像で検証することについてはほぼ、反対意見がなかったですね。やはりチームやファンに納得してもらうためにも、明確な映像を用意するための設備は大事になってきますから」

 ――リプレー映像による判定検証を行う際の注意事項があれば教えてください。

 「映像で判定を検証することへの意識が大事になります。導入当初はポジティブな取り組みとして受け取られますが、時間が経つにつれ、チームやファンはビデオ判定について、より高い要求をしていくものです。セーフ・アウトのどちらとも取れるプレーに関しても“せっかく映像があるのに、なぜ判定が変わらないのか”のような声です。あくまで映像は判定へのサポートで、明確な映像を確認できた場合に限り判定を変更ができる。“多分、~だろう”のような見え方では判定を変えられません。だから設備が重要です。学生野球では多くのカメラ台数を用意するのは難しいでしょうから、ファンも選手もチームも“ビデオはサポート的な立ち位置”という認識をずらさないように注意が必要です」

 ――明確な映像がある時のみ判定変更できるという認識は審判だけではなく、チームやファンも持っていくことが重要ということですね。審判側として気をつけることはありますか。

 「映像を見る際の共通認識が重要です。一塁のフォースプレーにおいて、“捕球”のタイミングは、一塁手がグラブでボールを握ったタイミングなのか、グラブにボールが触れたタイミングなのか。NPBでは野球規則内での定義と、映像を見る際の基準を分けて考えています。共通認識を持った上で映像を“見る力”も必要になってきます」

 かつてNPBでは変える必要のない判定を変更した結果、「誤審」となるケースもありましたね。学生野球で“前例”を繰り返さないためにも、求めすぎないことが重要となりそうです。本日はありがとうございました。

 「ありがとうございました」

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