DeNA4時間28分の激闘。記者がみた「負けなかった戦い」 ベスト球は24歳の投じたあの王道の変化球

[ 2025年4月4日 12:10 ]

DeNA・宮城滝太
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 投手に「球種は?」と聞けば「真っすぐに、カーブに…」と続くのが定番。真っすぐはさておき、変化球の最初にでてくるのは必ず「カーブ」。それだけカーブは王道。変化球バイブル第1章、1ページの球種と言える。

 4月2日のDeNA―阪神戦。6―6で延長戦突入の激闘で、DeNA三浦大輔監督は10回から7番手に高卒7年目・宮城滝太投手(24)を送った。右腕は、日頃は記者と気さくに会話し冗談も飛ばす好青年だ。

 だが、敵地の緊迫した場面に「ちょっとビビった」と振り返る。そして、そんな24歳を平常心へと落ち着かせる「お供」となったのがカーブだった。

 「僕、結構フォークが武器と言われるんですが、やはりカーブですよ」。力説する自慢の武器は、10回1死二塁の対梅野で最高の輝きを見せた。

 2ストライクからの3球目。「リリースした瞬間、ちょっと高めにいったと思った。でも梅野さんの反応を見て、逆に僕が“あっ”と思った。あの反応は僕にとってはうれしかった」。

 一瞬高めに浮いてボールと思われた127キロは、打者の手前でグッと落ちてストライクゾーンへ。好打者梅野は見送りかけながら思わずバットを出し、いわゆる「着払い(ミットに球が入ってから球を振る)」のタイミングで空振りした。

 着払いは、剛速球のときにタイミングが遅れて起きることが多く、カーブで着払いが生じるのは珍しい。それだけ、その一球はスピンが効いていた。3球三振は、梅野とは立場も格も違うアピール選手の宮城にとって自信となった。

 「実は直球が走っていなかった。だから(山本)祐大さんもカーブのサインを多く出したと思います。でも僕、カーブを投げながら自分のリズムをつくっていくことができるので」。10回から回またぎで2イニングを無失点に投じた31球の中、カーブが締める割合は15球、約48・4%。実に投球のほぼ半分が自慢の球種だった。

 この時期の投手は、深まっていくシーズンに向け打者に対する自分の投球の反応を探っている。今季、自分の球は通用するのか、打者はどうアジャストしてくるか…。宮城はその1球でカーブに手応えを感じた。「今後の僕との対戦で、梅野さんや阪神打線の方々も、“カーブ”を凄い意識してくれると思う」と力を込めた。

 延長12回、先発投手を除けば救援で登板した両軍14投手中、ただ1人2イニングを投じた宮城。プロ初勝利の期待もふくらんだが、それはお預け。とはいえ三浦監督が「みんなが本当に粘り強く戦った」と称した一戦で存在は光った。

 もし27年ぶりリーグVを手にしたら、「あの春先の延長引き分けは大きかった」と思い出すかもしれない4時間28分。価値あるドローを支え、好打者を着払いにした宮城の「カーブ」は、記者にとって決して忘れられない1球となった。
 (大木 穂高)

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