【内田雅也の追球】ツバメと最長キャンプ

[ 2025年2月27日 08:00 ]

宜野座の施設に飛来するツバメ(撮影・椎名 航)
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 阪神キャンプ地・宜野座のドームとブルペンの間を猛スピードで飛んでいた。つがいの2羽が行き来し、巣作りをしているのだ。今年もツバメがやって来た。

 沖縄も襲われていた寒波がようやく去り、ぽかぽか陽気のなか、やって来たのだろう。

 宜野座でのキャンプ中にツバメを見たのは昨年が初めてだった。取材メモを見返すと、昨年も同じ2月26日に「ツバメ飛来」とある。約束通り季節を告げるように、律義にやって来た。

 今年は寒かった。もう30年近く2月の沖縄を取材しているが、一番寒かったのではないか。それでも、秋に南に渡り、春に戻ってきた。

 毎朝散歩する宜野座でもヒカンザクラが咲き、サトウキビの刈り入れが行われ、キャベツ畑でモンシロチョウの群舞、産卵があった。毎年変わらぬ風景が繰り返される。

 阪神のキャンプも同じように日々が過ぎていった。もちろん新監督・藤川球児を迎え、新体制で迎えたキャンプは内容も違っている。ぼんやり見ていれば同じでも、よく見れば違う、といったことがいくらもある。

 朝、佐藤輝明が中野拓夢と2人で早出特守に励んでいた。サブグラウンドで内野守備走塁コーチ・田中秀太のノックを淡々と受けている。

 この「淡々と」という姿に成長を見る。もう何度目の早出特守だろうか。練習スケジュールを見返すと6度目で、高寺望夢7回に次ぎ、熊谷敬宥と並んで多い。練習や特守が日常になっている。そんな強みをみる。

 思えば、他球団はもうキャンプを終えた。DeNAは24日、巨人、中日は25日、広島、ヤクルトもこの日、打ち上げた。28日に打ち上げる阪神はリーグ最長キャンプを行うことになる。少しでも長く練習できる現実を大切にしたい。藤川も「今日一日が素晴らしい日という思いで毎日やっています」と話した。

 開幕に向け「結果は自分の責任。みんな自己表現してくれればいい」と言い、「しっかり準備して出航したい。今は船に荷物を積み込んでいる」と旅にたとえた。

 旅の言葉にスペイン語「VACILANDO」がある。「どこに行くかよりも、どんな経験をするかということを重視した旅をする」という意味だ。結果より過程。そんな旅に出る。そして、ツバメは幸運を運ぶ鳥だと言われる。 =敬称略= (編集委員)

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