早鞆 一丸発進!今夏限りで退任の大越監督「3年生は最後。一試合でも多く戦わせたい」

[ 2024年7月19日 06:00 ]

第106回全国高校野球選手権山口大会2回戦   早鞆7―6萩商工 ( 2024年7月18日    下関 )

<萩商工・早鞆>中断時に穏やかな笑みを浮かべる早鞆の大越監督
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 山口大会は18日、2回戦6試合が行われた。1967年以来57年ぶりの出場を目指すシード校の早鞆は萩商工を7―6で振り切った。元ダイエーの大越基監督(53)が、今夏限りでの退任を表明した中、1点を追う6回に7番の福本悠月(2年)が2点三塁打を放って逆転勝ちした。

 薄氷を踏む勝利に大越監督の表情にも疲労感がにじんだ。5点差の9回に4適時打で1点差まで迫られたが、最後は9回途中から再びマウンドに上がった先発の藤村剛大(3年)が締めた。指揮官は「初戦の入りは難しい。萩商工の粘りが凄いな」と息をついた。

 5回までわずか2安打1得点と相手投手を打ちあぐねた。円陣では「もう一回気持ちをつくって流れを持ってこい」と鼓舞。勝ち越しを許した6回に福本が右翼線に落ちる2点三塁打で逆転し流れを変えた。2年生の背番号3は「自分が絶対還してやる気持ちだった」と力強かった。

 今年5月18日。県内であった大会の試合後ミーティングで大越監督は今夏限りでの退任を選手に告げた。09年の就任以来12年には選抜にも出場と結果を出してきたが「あまりにも(選手と)近すぎて何十年もやっている。外から野球を見るのも勉強になるのかな」と一区切りをつける決断をした。指揮官の報告を聞いてもあまり反応がなかったという選手たちだが、本心は違った。岡本光希主将(3年)は「衝撃を受けました。言葉に出ませんでした」と振り返る。“練習でできないことは試合で出せない”と意識の大切さを説かれてきた。安打こそなかったが4回の左翼守備は遊撃と接触したがボールは放さない好プレーで貢献。「あれは意地だった」と胸を張り、「甲子園に行きたい、(監督を)連れて行きたい」と選手の思いを代弁した。

 歌手の山本譲二がメンバーだった67年以来の甲子園へ。「自分の大会ではない。3年生は最後。一試合でも多く戦わせたい」と思いを語った指揮官のもと、熱い夏にする。 (杉浦 友樹)

 ◇大越 基(おおこし・もとい)1971年(昭46)5月20日生まれ、宮城県出身の53歳。仙台育英時代は3年春と夏に甲子園出場。夏は全試合に完投して準優勝した。早大を中退し、92年ドラフト1位でダイエーに入団。プロ入り後に野手に転向。03年限りで現役引退。09年から現職。右投げ右打ち。

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