去就が注目されたカーショーをドジャースに残留させたもの 今季のチームが持つ最大の魅力とは

[ 2024年2月13日 07:15 ]

囲み取材で大谷や山本についても語るカーショー(撮影・柳原 直之)
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 オフの大補強でスーパースター軍団となったドジャース。もちろん大谷翔平、山本由伸といった新加入選手も注目だが、エース左腕、クレイトン・カーショー投手の復活なるかどうかからも目が離せない。ドジャース一筋のフランチャイズプレーヤーも3月で36歳。FAになったオフに左肩を手術したことで去就が注目され、引退か、あるいは故郷チームであるレンジャーズへの移籍を予測する声もあった。

 「これまでの人生で大きな決断はしてこなかった。ドジャースにドラフト指名され、高校時代からの彼女と結婚した。その過程でも決断は多くなかった。いくつか選択肢があったのはこのオフが初めてで、簡単ではなかった」

 そう語ったカーショーは結局、バッテリー組のキャンプイン直後の9日にドジャースと2年最大3750万ドル(約55億5000万円)で正式契約を結んだ。その背景にあったのは、「あのまま終わりたくなかった。チーム、私のどちらにとっても、(昨季の)終わり方は楽しいものではなかった」という思いだったという。

 昨季も13勝5敗、防御率2・46と健在ぶりを示したが、プレーオフのダイヤモンドバックス戦では初回、1死を取っただけで6失点降板と大炎上。ドジャースは3連敗で下位シードのチームに苦杯を喫した。通算210勝、サイ・ヤング賞3度の大投手が、その後にドジャースを去りたくなかったのは理解できる。

 同時に、大谷らが加わった今季のチームなら、という気持ちもあったようだ。

 「今オフ(の補強)は見ていても凄かった。このチームの一部になりたいと思う自分がいた。オフの勝者になっても何も意味はないが、才能ではこれまでで最高。私もその一部になれることを願っている」

 誰もがうらやむ充実したキャリアを過ごしてきたが、世界一の経験はパンデミックで短縮シーズンとなった2020年のみ。大谷、山本、フレディ・フリーマン、ムーキー・ベッツ、ウォーカー・ビューラー、タイラー・グラスノー、ウィル・スミスらの役者がそろった豪華メンバーのチームで、もう一度世界一になりたい。もしかしたらその時には、心置きなくフィールドを去れるのかもしれない。

 「(復帰は)うまくいっても夏だろう。夏の早い段階ではない。それより早くなっても遅くなってもよくないから、タイムテーブルを口にはしたくない。まだ分からないけど、7月か8月の間くらいだと思う」

 左腕エースがマウンドに戻ってくる時、ドジャースタジアムは万雷の拍手に包まれるに違いない。そしてその後、ポストシーズンに向けてコンディションを整えていけるのかどうか。希望のシナリオ通り、大谷らとともに2度目の世界一にたどり着けば、伝説的なキャリアの最高のクライマックスになるはずである。(記者コラム・杉浦大介通信員)

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