阪神・岡田監督 新井監督との師弟対決「受けて立つ」宣言通りの横綱野球で9年ぶり日本S進出決めた

[ 2023年10月21日 05:15 ]

セCSファイナルS第3戦   阪神4ー2広島 ( 2023年10月20日    甲子園 )

シャーレを掲げる阪神・岡田監督(撮影・島崎忠彦)
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 「2023 JERA クライマックスシリーズ(CS)セ」のファイナルステージ(S)は20日の第3戦でリーグ優勝の阪神が2位の広島に競り勝ち、アドバンテージを含む4勝で9年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。岡田彰布監督(65)は04~08年の1次政権で1勝8敗だった短期決戦を難なく3連勝で突破し、現役だった1985年以来、2リーグ制以降では2度目の日本一を見据えた。

 強かった。2連勝で勝ち上がってきた広島に3試合全てで先制されても、追いつき、逆転した。第2戦からの2試合は安打数で下回っても競り勝ち、特に決着の第3戦は申告敬遠を含む7四球が効いた。両リーグ最多の494四球を叩き出したレギュラーシーズン同様の戦いで、岡田監督も勝因に挙げた。

 「今年一年の得点したスタイルが最後、一番大事なところで出ましたね」

 6回2死一塁ではノイジーがフルカウントから2球ファウルで粘って四球をもぎ取り、続く坂本の決勝打を呼んだ。7回1死満塁では森下の押し出し四球で追加点。終盤の大事な場面で四球が絡み、10安打2得点の広島を7安打4得点で押し切った。

 「広島はどんどん(ストライクが)来てたからね。でも、接戦になったら最初から簡単にストライクは来られんということやんか」

 ファイナルS前の「受けて立つ」という宣言通り相手の勢いにも伏兵を起用した揺さぶりにも動じず、「普段通り」の野球で返り討ちにした。

 10月20日は忘れられない一日だ。15年前の08年、CS第1Sの第3戦で敗れて1次政権の最後の日になった。巨人に最大13ゲーム差をひっくり返された責任を取り、同年限りでの退任を表明して臨んでいた。敗戦後の涙は父・勇郎さんに連れられて幼少期から応援し、選手として日本一になり、04年から指揮を執った愛すべきタイガースとの別れに、感情を抑えきれなくなったからだ。

 1次政権の5年間は393勝307敗18分、勝率・561を誇りながら、リーグ制覇で進出した05年の日本シリーズと07年からのCSを合わせた短期決戦では1勝8敗と分が悪かった。オリックス監督を経て再び袖を通したタテジマで18年ぶりに頂点に立った。

 以前は負ければホテルから球場までのバスのルートを変更し、鬼門バンテリンドーム名古屋では「変える道がなくなった」のは有名な話。今年一年はどの場所でも同じ道で球場入りした。セ全球団に勝ち越す圧勝で験担ぎをする必要がなかった。圧倒的な強さでファイナルSも3連勝で一気に駆け抜けた。

 「紙一重やと思うよ。守り勝ちやな、はっきり言うて」

 ポストシーズンの負の歴史をひとまず塗り替えた。地鳴りのような「岡田」コールを背に向かうのは、日本一、ただ一つ。(倉世古 洋平)

 ▽阪神の08年10・20 中日とのCS第1Sは甲子園が改修工事のため京セラドームで開催。1勝1敗で迎えた第3戦は阪神・岩田と中日・吉見の投げ合いで8回まで0―0で進み、9回表に藤川が2死三塁からウッズに決勝被弾して敗退した。既に退任の決まっていた岡田監督は試合後のセレモニーでグラウンドに整列した選手と握手。涙の藤川を「最後に打たれたのが、おまえで良かったよ」とねぎらった。

 ○…日本シリーズを懸けたプレーオフ、CSの無敗突破は昨年のヤクルトに次ぎ延べ15チーム目で阪神は初めて。今CSの阪神は全て逆転勝ち。プレーオフ、CSのファイナルSで3度の逆転勝利は05年ロッテが1、2、5戦でマークした3度に並ぶ最多で、3試合連続は阪神が初めて。

 ○…岡田監督にとっては05年以来18年ぶりの日本シリーズ進出。監督のシリーズ出場ブランクでは、73、92年野村克也(南海、ヤ)の19年ぶりに次ぐ長さで、同一球団では77、94年長嶋茂雄(巨)の17年ぶりを抜いて最長。また、満66歳(11月25日生まれ)シーズンでの指揮は、13年の星野仙一監督(楽)に並ぶシリーズ最年長出場監督にもなる。

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