ソフトB育成10位左腕・前田純 元ホークス“師匠”の教えで急成長 ボールをつぶす感覚で力強く

[ 2023年7月18日 06:00 ]

キャッチボールする前田純(撮影・岡田 丈靖)
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 毎週火曜日にソフトバンクのファーム情報をお届けしている「筑後鷹」。第37回は育成10位ルーキーの左腕、前田純投手(23)に注目した。1メートル88の長身から投げ下ろすボールを武器に3、4軍の非公式戦では先発として7勝と頭角を現している。日本文理大時代の“師匠”の元鷹戦士の存在と、今シーズンのここまでを語ってくれた。

 ここまで3、4軍戦の非公式戦で7勝を挙げている前田には運命を変えてくれた人がいる。「師匠的な存在」と話す日本文理大の吉川輝昭投手コーチ(41)だ。現役時代はプロ通算で3勝。ソフトバンクには10年途中に横浜(現DeNA)からトレードで加入し、11年にキャリアハイの40試合に登板して2・41の防御率を残したことを覚えているファンも多いはずだ。

 出会いは大学2年の冬。強化メンバーに選出された。「考えられるタイプじゃない」と自己分析する前田はがむしゃらに投げていたが、「身長があるから。上から叩いた方がいい」とアドバイスを受けた。メディシンボールを使いながらフォームを二人三脚で基礎からつくり上げた。イメージは上から“つぶす”。「キャッチボールから自分の感覚が違うようになった」と投球が力強くなった。

 3年春、中部商では一度もかなわなかったベンチ入りを果たし、昨春の全日本大学選手権では1回戦の松山大戦で救援登板し、2回無失点と上々の全国デビューで勝利に貢献。これがプロ入りへつながった。吉川コーチは現在でも「投げた後に電話があったりします」と気にかけてくれていることに感謝する。

 プロでも順調なスタートを切っている。3、4軍の非公式戦で7勝1敗、防御率は2・05(14日現在)。投球回61回1/3に被安打は51とやや多くも映るが、「踏ん張るピッチングができている。点さえ取られなければ勝ちなので。テンポよくどんどん抑えていけたらいいかなと思います」と打者に立ち向かう。

 現在は変化球でいつでもカウントを取ることをテーマに取り組む。「自信がある」と話すカーブも試行錯誤中。フォークは同じ育成の中道から握り、力の伝え方を教わってプロ入り後にマスターした。「カーブがかみ合ったら、もっといいピッチングができると思う。フォークもだいぶん良くなりました」と手応えは感じている。

 担当の若田部3軍投手コーチは「背も大きいし、手足も長い。また違う形の投球ができると思う。うちにいない投球スタイルなので。生かしていきたい感じですね」と評した。今季中の2軍での登板も見えるような結果を残しているが、視線はその先にある。前田は「自分が成長するには2軍がゴールじゃないので。1軍までの成長段階で、2軍でも結果を残せるようなピッチャーになりたいです」と力強く言った。ひょうひょうとした印象とは裏腹に高い自覚を持つ背番号167の存在感は筑後で日に日に増している。(杉浦 友樹)

 ◇前田 純(まえだ・じゅん)2000年(平12)6月4日生まれ、沖縄県出身の23歳。中部商ではベンチ入りなし。日本文理大でもリーグ戦初出場は3年春だったが、急成長して4年秋にはベストナイン。背番号167。息抜きは寝ること。1メートル88、84キロ。左投げ左打ち。

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