大谷 残留消滅!? エンゼルスオーナー球団売却取りやめ チーム愛強調も実情は…

[ 2023年1月25日 02:30 ]

球団売却の取りやめと継続保有を発表したモレノ・オーナー(右)。左は大谷(撮影・光山 貴大)

 エンゼルスは23日(日本時間24日)、昨夏から買収先を探していた球団売却を取りやめ、23年シーズン以降も現在のアート・モレノ・オーナー(76)が保有を続けると発表した。今季終了後にFAとなる大谷翔平投手(28)の引き留めには、巨額の資金力を持った新オーナー誕生が唯一の道ともみられていただけに、エ軍ファンは失望。FAでの争奪戦となれば苦戦は必至で、移籍の可能性が極めて高くなった。

 異例の急転劇は、大谷の去就にどのような影響を与えるのか。モレノ・オーナーは球団を継続保有することを発表し「心はまだエンゼルスとともにあることに気づいた。我々にはやり残した仕事がある。ファンのために再びワールドチャンピオンになる」などとコメント。エンゼルス愛を強調してみせた。

 だが実情は、買収金額が希望に満たなかったなど売却交渉が難航しただけにすぎない。当初は歴代最高となる30億ドル(約3900億円)規模での売却を予想する声もあった。売却方針を表明しながら、一転して交渉を打ち切った例は過去にほとんどない。複数の買収候補の名前も浮上していただけに、米ヤフーやニューヨーク・ポスト紙は「大谷との巨額交渉が控える中で、売却交渉を断念した」と驚きをもって伝えた。

 今季終了後にFAとなる大谷は、史上初となる総額5億ドル(約650億円)以上の巨額契約を結ぶとも予想されており、ドジャースやメッツなどが獲得に向けて資金面の準備を進めている。大リーグではチームの年俸総額が基準額(23年は2億3300万ドル=約303億円)を超えると「ぜいたく税」が科されるが、モレノ・オーナーはこの基準以上になる投資には否定的な姿勢を貫く。緊縮財政のままでは、トラウトと12年総額4億2650万ドル(約555億円)、レンドンと7年総額2億4500万ドル(約319億円)の契約を抱えるエ軍が、対抗できる可能性は低い。

 米メディアやファンは、資金力に優れた新オーナー誕生が残留への唯一の道とみていた。しかし、それも断たれ、球団公式ツイッターには「最悪のニュース」「大谷を失い、今後20年間プレーオフに出られないことを楽しみにしている」など失望と批判の声があふれた。

 モレノ・オーナーは02年以来、21年ぶりのワールドチャンピオンを目指すと宣言しており、そのためには大谷の力は不可欠だ。しかし、7月末のトレード期限時点でプレーオフ進出が望めない順位に低迷すれば、シーズン終了を待たずにトレードでの放出に踏み切る可能性もある。

 大谷は常々「ヒリヒリする9月を過ごしたい」と話すなど、世界一を狙えるチームでのプレーを望んでいる。二刀流という空前絶後のチャレンジを支え、成功に導いたエ軍だが、大谷がそのユニホームを着続ける可能性はかすんでいく一方だ。

 ≪「大谷マニア」ベン・バーランダー氏皮肉「私が買収する」≫熱烈な「大谷マニア」で知られるFOXスポーツのアナリスト、ベン・バーランダー氏=写真=がエンゼルスの「売却中止」を皮肉った。ツイッターに「ビッグニュースだ。私がエンゼルスを買収すると決めた。名前はカリフォルニア・エンゼルスに変える」と書き込み「大谷翔平と生涯契約を結ぶ。マイク・トラウトを米大統領(と球団社長)にする」と続けた。同氏はサイ・ヤング賞右腕ジャスティン・バーランダーの弟でもある。

 【エンゼルス“売却”の経過】

 ▼22年8月23日 球団が売却などを検討する手続きを開始したと発表。モレノ・オーナーは「難しい決断だったが、今がその時という結論に達した」。

 ▼9月10日 地元紙ロサンゼルス・タイムズが、同紙のオーナーであるパトリック・スンシオン氏がエ軍買収を検討していると報道。医療会社で成功し、米フォーブス誌によると純資産69億ドル(約9000億円)。

 ▼12月6日 ロブ・マンフレッド・コミッショナーが球団売却について「私の理解では来年開幕前までに決着をつけることが目安」と言及。

 ▼23年1月5日 NBAウォリアーズのジョー・レイコブ・オーナーが「興味を持っている」とエ軍球団買収を検討していることを認める。

 ▼1月23日 球団が売却交渉の中止を発表。

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