砺波工・故障の絶対的エース 仲間の力投に感涙

[ 2010年8月11日 06:00 ]

<報徳学園・砺波工>仲間の勇姿をブルペンから見つめる砺波工・健名

 【夏の1ページ 砺波工2―3報徳学園】右の拳で何度も胸を叩いた。仲間へ送る激励の合図だ。9回、砺波工の一塁側ブルペンで背番号1の健名は打席の中山と目が合った。「気持ちで負けるな」。何度も何度も胸を叩く。それがエースにできる精いっぱいの仕事だった。

 「僕を見捨てず、1番をくれたのに。それに応えられなかったのが悔しい。未熟でした」
 絶対的エースだった健名の右ひじに突然、激痛が走ったのは4月の練習試合中だ。しびれるような痛みで1カ月間の投球禁止。懸命のリハビリで痛みは消えたが、怖さで腕を振れなくなった。だが富山大会前、部員の投票で決めた背番号は健名が「1」。富山大会は背番号6の中山の奮闘で甲子園を決めた。その中山に「甲子園で投げてくれ」と言われたが、ブルペンで試合が終わった。
 「翔也(中山)がいたからここへ来れた。きょうの投球も胸が熱くなった」。攻守交代時は中山へグラブを届け、ピンチでは胸を叩いた。ブルペンで聞いた「健名、頑張れ」というスタンドの声を胸に刻んだ。ブルペンが健名にとって甲子園のマウンド。試合後、中山に言った。「翔也、ありがとう」。涙はいつまでも止まらなかった。

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2010年8月11日のニュース