満開の桜2度咲きへ 「我喜屋イズム」成熟の時

[ 2010年8月11日 06:00 ]

<興南・鳴門>ベンチでサインを出す興南・我喜屋監督

 【興南9―0鳴門】満開だった桜が夏に青々と葉をつける。そんな桜の木が重なって見えたのだろう。我喜屋監督は選手を珍しく褒めた。

 「相手ペースのときにも気持ちを含めて立て直すことができた。それがこの夏の成長です」
 9―0の完勝。春を制した「我喜屋イズム」はこの夏、成熟の時を迎えている。人間教育に始まって、実戦に即した創意工夫の練習。その内容は実にユニークだ。雨の中でも長靴を履いて打球を追えば、蒸し暑い甲子園対策として炎天下に雨がっぱを着て練習した。
 まだ夏の日本一がない沖縄。「体格に勝る全国の選手が体力をつける夏は小柄な沖縄勢は力ではかなわない」。鍛えるのはスピード。常に「半歩先に」を考える。そして相手の動きを読む洞察力を磨いた。朝の散歩は歩いた後に感想を1分間スピーチ。「季節の移り変わりとかを感じ取る感性がなければ、相手の変化なんか分からない」
 今春、満開の桜の下を散歩して我喜屋監督はこう言った。「この桜もやがて散るが、しっかりと根を下ろしていれば夏に葉をつけ、また満開になる。春に優勝したおまえたちも一緒だ」。この夏も同じ桜の下を散歩している。満開の花を咲かす興南の夏が始まった。

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2010年8月11日のニュース