池江 涙なしの前向き100バタV 0秒10差で世界選手権代表逃すも悔しさをパリへの糧に

[ 2022年3月6日 05:30 ]

競泳 国際大会日本代表選考会最終日 ( 2022年3月5日    東京辰巳国際水泳場 )

女子100メートルバタフライで優勝し、表彰式で笑顔で手を振る池江(撮影・会津 智海)
Photo By スポニチ

 女子100メートルバタフライは池江璃花子(21=ルネサンス)が57秒89で優勝したが、派遣標準記録に0秒10届かなかった。エントリーしていた女子50メートル自由形は棄権。今大会は出場全3種目で個人種目の派遣標準記録を突破できず、6月の世界選手権(ブダペスト)代表入りを逃した。目標に掲げていた5年ぶりの個人種目での世界舞台返り咲きはかなわなかったが、号泣を繰り返した前日までとは一転。苦い経験を24年パリ五輪への糧にすることを誓った。

 涙はなかった。本命種目の女子100メートルバタフライで優勝。派遣標準記録に0秒10届かず世界切符を逃した池江だが「まずは優勝をうれしく思う。今日は勝っても負けても泣かないで帰ることを目標にしていた。ここでしっかり戦えたことには意味がある」と前を向いた。今大会は3種目に出場。2日の50メートルバタフライは0秒12、4日の100メートル自由形は0秒06派遣標準記録に届かずに号泣したが、この日はすっきりした表情を見せた。

 前夜は棄権も考えたが「戦わずして負けるか、戦って終わるか。どちらか選ぶんだったら未来につなげたい」と出場を決断した。予選は体力を温存して59秒59で8位通過。決勝では大幅にタイムを上げた。4日のレース後には「去年から全く成長していない」と投げやりになったが、練習のタイムは1年前から格段にレベルアップしており「成長していないわけがない。あまり自分を否定しすぎないようにしないといけない」と気持ちを切り替えていた。

 この種目と女子100メートル自由形でリレー種目の派遣標準記録は突破したが、基準を満たす選手が4人そろわずリレーは派遣が見送られたため、リレーでも世界選手権には出場できない。白血病から復帰後、初めて大きな壁にぶち当たったが「この試合を試練と思って転機にしたい。今まで経験したことのない苦しさがあったので今後に生きると思う。同じ苦しみを味わわないために練習を積んでいくだけ」と力を込めた。目標はあくまで24年パリ五輪でのメダル獲得。苦しんだ分だけ、池江はまた大きくなる。

続きを表示

この記事のフォト

2022年3月6日のニュース