【パラリンピアン支える力】地域の力フル活用 金銭以上の支援可能に

[ 2016年9月13日 11:30 ]

 日本パラリンピアンズ協会が今回の代表選手らを対象に先月実施した競技環境調査によると、練習をする上で選手が自己負担した額は1人当たり年間147万円にも上っている。代表選手の強化合宿は各競技団体が負担するのが原則だが、競技団体自体が財政難のため一部は個人で負担せざるをえないのが実情だ。そんな中、日本肢体不自由者卓球協会と長崎県の平戸市が結んだスポンサー契約が注目を集めている。もともと協会と平戸市の接点はなかったが、知人を通じて協会の窮状を知った平戸市が昨年、支援に名乗りを上げた。自治体が特定の競技団体のスポンサーになるのは全国初。契約料はわずか5万円だが、協会、平戸市双方が得たものは金額以上に大きかった。

 昨年7月には契約後初めて日本代表チームの合宿を平戸市で行った。現地での宿泊費は協会が支払ったが、会場となった文化センターの施設使用料は市が負担。最寄りの佐世保駅までの往復も市が車両を用意して対応した。練習中は市内の小中学生が手伝いに駆けつけ、床に散らばったボールを集めてくれた。そのお礼として選手たちは子供たちに卓球を教え「いろいろなところで合宿をしてきたけど、我々を選手として扱ってくれたのは初めて」と感激を口にしたという。

 20年東京五輪・パラリンピックの開催に合わせて合宿地の誘致やPRに力を入れていた平戸市にとってもメリットは大きかった。地元のテレビや新聞で何度も報道され、他の自治体からの問い合わせも相次いでいる。観光課の担当者は「いろいろなところで話題にしてもらえたので、広告費と思えば決して高くない金額だと思う。自治体だからこそできることもあるし、これからも続けていきたい」と継続支援に意欲を見せている。

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2016年9月13日のニュース