稀勢の執念10連勝 幕内最多60度目の激突 宿敵・琴奨菊下す

[ 2016年5月18日 05:30 ]

琴奨菊を寄り倒しでやぶる稀勢の里(右)

大相撲夏場所10日目

(5月17日 両国国技館)
 悲願の初優勝と横綱昇進を目指す稀勢の里が、琴奨菊との史上最多の幕内60度目の対戦を制し、全勝を守った。先々場所、先に賜杯を奪われたライバルの寄りを必死に耐えて最後は寄り倒し。2場所連続で初日から10連勝を飾り、勝負の終盤戦に弾みをつけた。横綱・白鵬も大関・照ノ富士を寄り切って全勝キープ。日馬富士と鶴竜が2差で追う展開となった。

 史上最多回数を誇る日本人大関同士による60度目の対戦。互いに力と力を出し切った末に稀勢の里が琴奨菊を寄り倒して全勝を守った。一向に鳴りやまぬ拍手と歓声。升席の外国人は興奮のあまりスタンディングオベーション。間違いなく今場所最も盛り上がった瞬間だった。

 先場所は立ち合いで稀勢の里が変化し0秒7で勝負が決したが、今場所は違った。馬力十分の琴奨菊の当たりを左おっつけで止めた。その後、相手の寄りで俵に両脚が掛かる場面もあったが、重い腰で耐え抜き、最後は右上手をつかんで寄り倒し。26秒の熱戦を制して対戦成績を28勝32敗とした29歳は「いい攻めだったと思います」と納得の表情だ。

 二所ノ関一門連合稽古で場所前に手合わせするのが最近の恒例。今場所前も2日連続で稽古して7勝3敗、6勝4敗といずれも稀勢の里が勝ち越した。だが、一発の当たりで琴奨菊に攻め切られる場面もあり一門総帥の二所ノ関審判部長(元大関・若嶋津)は「稽古場では合い口は悪かった」と言う。それでも本場所で勝てた理由は「執念だよな」と初Vへの思いが後押ししたと分析した。

 取組を終えた大関は、支度部屋でも淡々とした表情。先々場所に先に賜杯を奪われた先輩大関を正真正銘の真っ向勝負で破り、「一日一日ですよ」と勝負の終盤戦へ集中力を高めていた。

 ▼八角理事長(元横綱・北勝海) 稀勢の里の関門はこれから。3横綱との対戦。内容は良くなっている。

続きを表示

この記事のフォト

2016年5月18日のニュース