28歳秋本「執念」V リオ五輪へ“ライバル”大野に優勢勝ち

[ 2014年12月7日 05:30 ]

男子73キロ級決勝 大野将平(右)を破り優勝した秋本啓之

柔道グランドスラム東京大会第2日

(12月6日 東京体育館)
 不屈のベテランが3年ぶりの復活優勝を飾った。男子73キロ級の決勝で秋本啓之(28=了徳寺学園職)が、大野将平(22=旭化成)から一本背負いで有効を奪って優勢勝ち。昨夏に結婚した元バレーボール選手の大友愛さんら家族も見守る前で、元世界王者同士の対決を制した。12年ロンドン五輪で代表を逃し、16年リオ五輪を目指して現役続行を決断。今大会をケガで欠場した現世界王者の中矢力(25=ALSOK)を含め、今後は三つ巴での代表争いとなりそうだ。

 負ければ夢が遠のく大事な一戦。「崖っ縁」の危機感が秋本を突き動かした。「執念というか気持ちで戦った」。先手を取って仕掛けることで、相手の圧力をかわし続けた。残り1分9秒、「とっさに出た」という左の一本背負い。大野を横倒しにすると巻き込むように押し込み、貴重な有効をもぎ取った。

 「ずっと暗いトンネルだったのが少し光が差し込んできた」と9月のアジア大会に続いて、さらに強豪がそろった今大会も勝ち残った。10年に世界選手権を制したが、ロンドン五輪は選考会直前のケガもあって代表の座は中矢に奪われた。大野も急成長し、秋本の立場は変わった。この日は6月に生まれ、生後8日目に心臓病の手術を受けた長男・心之介くんも会場に来ていた。「いつも妻が支えてくれて、子供たちが一番の原動力。少しは恩返しできたかな」と苦しい時期を支えてくれた家族に感謝した。

 この4年間の世界選手権を独占し続ける3人によるハイレベルな代表レース。「2人の方が世界で実績がある。まだまだしぶとくやっていく」と2年後の夢舞台を目指し、秋本は年下のライバルを追いかけるつもりだ。

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2014年12月7日のニュース