12年後は53歳の葛西「出たい」 札幌が26年冬季五輪招致に名乗り

[ 2014年11月28日 05:30 ]

10年大倉山全日本ジャンプで、札幌の街並みに向かい飛び出す葛西。26年もこの姿が見られるか!?

 札幌市の上田文雄市長(66)は27日に開会した市議会で2026年の冬季五輪招致に乗り出す意向を正式表明した。札幌市は1972年に日本初の冬季五輪を開催しており、実現すれば2度目。日本での冬季五輪は98年長野と合わせて3度目となる。開催地は19年の国際オリンピック委員会(IOC)総会で決まる見通しで、実現すれば53歳で大会を迎えるスキージャンプ男子の葛西紀明(42=土屋ホーム)は出場に意欲を示した。

 上田市長は立候補の理由について「招致は札幌の街を新たなステージに導き、北海道の未来を創造する一歩になる。夢に進む市民の機運は醸成された」と訴えた。同市は10月に市民1万人を対象に招致の是非を問うアンケートを実施。66・7%が「賛成」「どちらかといえば賛成」と回答したことが後押しとなった。市議会は今月、招致を求める決議を可決。札幌商工会議所も上田市長に招致を要請していた。

 26年の開催を想定すると、日本オリンピック委員会(JOC)は16年に国内立候補都市を選定。19年のIOC総会で開催地が決まる。札幌市が9月に公表した試算では、冬季五輪を開催した場合の運営や施設整備を合わせた経費は4045億円で、市単独の負担は715億円と見込む。ただ、20年東京五輪から開催間隔が短い大会に政府の財政保証が国民の理解を得られるのか。また、冬季五輪の開催地は18年が韓国・平昌、22年もカザフスタンのアルマトイと北京が争い、20年夏季の東京を含めると3大会連続のアジア開催となる。JOC関係者は「26年では、またアジアかという印象を持たれる」と指摘。24年の夏季五輪を挟むとはいえ、招致は簡単ではないという見方もある。

 その一方で地元は早くも歓迎ムード。ソチ五輪でメダル2個を獲得した葛西は「立候補するだけでもうれしい。ジャンプ人生で日本での五輪は(98年の)長野が最後だと思っていた。できれば選手で出たい。出られなくてもコーチで関わりたい」と53歳で迎える五輪出場に冗談めかしながらも意欲。北海道出身で7大会連続出場中のレジェンドは「地元の人に五輪を感じてもらえれば最高。(現役へ)モチベーションになる。競技人生がまた延びるかもね」と訴えた。開催が実現すれば、新たな伝説が生まれるかもしれない。

 ▼72年札幌五輪VTR アジア初開催の冬季五輪には35の国と地域から約1000人の選手が参加。日本のメダルはスキージャンプの70メートル級(現ノーマルヒル)で笠谷幸生、金野昭次、青地清二が獲得した金、銀、銅メダルの3つで、表彰台独占の快挙に「日の丸飛行隊」の名称が生まれた。フィギュアスケート女子は愛くるしい笑顔で銅メダルを獲得したジャネット・リン(米国)が「札幌の恋人」と呼ばれて人気者に。大会テーマ曲はトワ・エ・モアらが歌った「虹と雪のバラード」。

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