識者はこう見る…玉木正之氏「東京に有利に働く可能性も」

[ 2013年2月13日 06:00 ]

レスリング五輪除外危機

 ▼スポーツライター・二宮清純氏 五輪はより速く、より高く、より強くがモットー。レスリングはより強くを代表するもので、近代五輪の第1回から続いている。その競技が除外候補に挙がったのは本当に驚き。IOCは人気があって、競技人口が多いスポーツに比重を移しつつある。そうした意味では、IOC自体が五輪の原点を見失いかけているのではないか。これは日本だけでなく、世界のレスリング選手にとっても大変ショックなこと。北京五輪後にソフトボールが五輪競技から除外されて以降、目標を失い他のスポーツに進む選手が相次いだ。国際レスリング連盟の巻き返しを期待したい。

 ▼スポーツ評論家・玉木正之さん レスリングは近代五輪の第1回アテネ大会からある種目で、除外になることはあり得ない。柔道でもなくテコンドーでもなく、レスリングが外れる危機にあるなんて全く理解できない。レスリングは「動物とじゃれ合う」という意味の言葉が語源。人間が動物よりも強いことを証明するスポーツであり、古代オリンピックの時代から存在する種目だ。何か政治的な動きがあったのだろうか。ただ、もし外れるようなら、2020年五輪招致を目指すイスタンブールを抱えるトルコはレスリングの本場なので、東京に有利に働く可能性もある。

 ▼ノンフィクション作家・長田渚左さん 日本のメダル獲得が期待できる注目競技なので、除外の危機となったことはすごくショックだ。レスリングは全身の力と技を駆使するため、子供の体の成長に良い影響を与える。野球やソフトボールが五輪から外れたのは競技人口が少ないという理由だったが、レスリングは米国や中東、欧州などでも盛ん。どういう経緯で外れたのか、国際オリンピック委員会はつまびらかにするべきだ。

続きを表示

2013年2月13日のニュース