引退覚悟のラウンド 丸山連日60台で3差2位

[ 2012年10月6日 06:00 ]

10番、ティーショットを放つ丸山茂樹

男子ゴルフツアー キヤノン・オープン第2日

(10月5日 神奈川県横浜市 戸塚カントリー倶楽部西コース=7191ヤード、パー72)
 現役引退も視野に入れ始めた丸山茂樹(43=セガサミーホールディングス)が、首位と3打差の2位に浮上した。1Wのイップスに苦しみながらも、4バーディー、1ボギーの69でまとめて通算7アンダー。シード落ちが近づく状況で、決勝ラウンドも必死のプレーを続ける。68で回った池田勇太(26=日清食品)が通算10アンダーで首位を堅守。石川遼(21=パナソニック)は通算6アンダーで4打差の6位となった。
【第2R成績】

 丸山の登場を子供たちが拍手で出迎えた。ちょうど地元の小学生たちの会見場見学のタイミング。「社会科見学?オーマイガッ!あんまりネガティブなことは言えないね」と丸山は苦笑いした。

 小学生に語れる夢や希望はない。苦しさだけを抱え、それでも試合に出る。それが現状だ。元凶は1Wのイップス。「嫌だなと思った時はダウンスイングで体にパチンとノイズが走る」。米ツアー時代の05年頃に発症し、一時は回復の兆しもあったが、昨年の右足のケガなどをきっかけに悪化した。

 「このコースはそこまで1Wを使わなくてもいいし、フェアウエーがそれなりに広いから助かってる」。それでも後半の7番パー5では1打目で5W、2打目も5Wという“奇策”に出ざるを得なかった。1Wを握った前日は「電気が走って」左に大きく曲げていたからだ。2日間のフェアウエーキープは84位と低迷。アイアンと小技、割り切った戦略を駆使して必死にスコアメークした2日連続の60台だった。

 09年日本シリーズ優勝による3年シードは今年で期限が切れる。今季獲得賞金はまだ133万円で賞金シードは遠い。今大会2位以上なら一発逆転も見えてくるが、丸山はもっと現実的だ。「残された道は少ない。イップスが治らなければ、そっちにいくしかないのかな」。来季は生涯獲得賞金25位以内の1回限定シードを使える。しかし、再来年の保障は何もない。言外ににおわせたのは現役引退の覚悟だった。

 3日目は今季初の最終組。池田、上平という好調の2人と一緒に大ギャラリーの注目を浴びる。だが、イップスを抱える丸山にとって、重圧のかかる最終組はある種の恐怖も伴う。「打ちのめされても立ち上がるゴルフを最後までやりたい。期待せずに見に来てください」。今の丸山が見せられるもの。それは華麗なプレーよりもゴルファーとしての生きざまだ。

 ▼6位・藤田寛之 少ないチャンスを決めてチャンスじゃないのも入った。パットが良かった。ショットはきのうよりマシだけど全然ダメ。自分は良くても良いと思えないタイプだから。(9番で20メートルを入れるなど6バーディーの66)

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2012年10月6日のニュース