4年ぶり日本人大関誕生へ…琴奨菊、白鵬連破で“王手”

[ 2011年9月24日 06:00 ]

琴奨菊(右)は白鵬を寄り切り、2場所連続で横綱を破る

大相撲秋場所13日目

(9月23日 東京・両国国技館)
 関脇・琴奨菊が横綱・白鵬を相手得意の右四つで寄り切り、4年ぶりの日本人大関誕生へ大きく前進した。名古屋場所に続いての横綱連破で、昇進目安の直近3場所33勝にマジック「1」とし、優勝争いでも2敗でトップの白鵬に並んだ。平幕・北太樹、臥牙丸はともに敗れて3敗に後退した。
【取組結果】

 2日連続で“座布団シャワー”が館内に降り注いだ。2場所連続で横綱を撃破した琴奨菊は、口を真一文字にして土俵上に仁王立ち。花道を引き揚げる際も荒く息を吐き、興奮は冷めなかった。

 「立ち合いだけ考えて、そこだけできたらいいと思っていた。あとは全く覚えてないです」

 ここ一番の勝負でいちかばちかの賭けに出た。右差し左上手が得意な白鵬に対し、琴奨菊は正反対の左四つを得意としている。しかし、出番前の支度部屋では、あえて相手有利の体勢となる左前みつを取る練習を繰り返した。一歩間違えれば完敗の可能性もあったが、意表を突く作戦を選択した。

 全神経を集中させた立ち合い、低く鋭く踏み込んで右を差すと左前みつをつかんだ。明らかに動揺が見られた横綱を尻目に一気呵成(かせい)に畳みかける。すぐに全身を上下に激しく動かしてがぶり寄り。土俵際で、いったん残されたものの、最後は右手で土俵下へ突き落とした。

 5月の技量審査場所まで対戦成績は1勝26敗。まるで歯が立たなかったが、名古屋場所に続いての殊勲星。しかも、相手得意の形での完勝だ。昇進の目安となる直近3場所33勝にあと「1」としたうえ、横綱から挙げた白星は1勝以上の重みを持つ。大関昇進の判断を委ねられた審判部の貴乃花部長(元横綱)は「大きな一番。千秋楽までつなげていけば(大関昇進の)声がかかるでしょう」と評価した。

 だが、名古屋場所では終盤に崩れて大関獲りを逃しただけに「意識せずやる。精神面で、ここからが先場所を意味あるものにする闘い」と冷静に対応した。横綱に土を付けて優勝争いでトップに並び、初優勝のチャンスもたぐり寄せた。まずは、14日目の日馬富士戦で大関獲りの条件をクリアする。

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2011年9月24日のニュース