堀畑、銅だ!伏兵やった、日本男子初のメダル

[ 2011年8月1日 06:00 ]

男子400メートル個人メドレー決勝で3位に入った堀畑は応援団に向かって喜び爆発

水泳世界選手権最終日

(7月31日 中国・上海)
 男子400メートル個人メドレー決勝で、堀畑裕也(21=日体大)が自身の日本記録を0秒04更新する4分11秒98の日本新記録で、銅メダルを獲得した。日本勢の男子個人メドレーのメダルは五輪、世界選手権を通じて初めて。男子400メートルメドレーリレー決勝の日本(入江、北島、藤井、日原)は3分32秒89の4位でメダルに届かなかった。

 日本の伏兵が競泳史に名を刻んだ。日本男子個人メドレー初の銅メダルを獲得した堀畑は「代表に入った頃は決勝にも残れなくて恥ずかしい思いがあった。今回は運にも恵まれて、チャンスをものにできたことがうれしいです」と言って、目を真っ赤に腫らした。

 隣のコースのロクテが序盤から一人抜け出す中、堀畑はじっと我慢した。北京五輪銀のチェー(ハンガリー)が予選落ちし、パンパシフィック選手権銅のペレイラ(ブラジル)が棄権して、膨らんだメダルの好機。「危険を冒さずに勝負にこだわった」。自分のペースを守り、最初のバタフライは4位、続く背泳ぎで3位。平泳ぎでは黄朝升(中国)に抜かれ、0秒47差の4位に落ちたが「(昨年11月の広州)アジア大会で勝った相手。練習してきていたし、自身を持って100メートルを泳げた」と得意の自由形で逆転した。

 日体大に入学し、初めて代表となった2年前のローマ大会は「出場しただけ」で予選9位敗退。世界のトップレベルを肌で感じ、意識が変わった。00年シドニー五輪女子400メートル個人メドレー銀の田島寧子を育てた藤森善弘コーチの下で、長距離選手並みの厳しい泳ぎ込みを積んできた。

 苦手の背泳ぎを強化し、昨年4月の日本選手権で自身初の日本記録4分12秒02をマーク。11月のアジア大会も制した。今大会前は6月に米フラッグスタッフで前年より1週長い4週間の高地合宿を実施。スタミナにも自信をつけて臨んだ。

 藤森コーチは「真面目な男。食事や睡眠にも気を使って、体のケアも自主的にできる」と評する。愛読書はサッカー日本代表・長谷部誠の「心を整える」。「長谷部さんは真面目な方で、自分に似たところが多いし、見習うことが多い」という。前日21歳になったばかり。日本男子で最も小さい1メートル69は、小さな努力の積み重ねで結果を出し、自らの誕生日を祝った。

 一躍五輪のメダル候補に浮上。「来年メダルを狙えるかどうかは分からない。しっかり自分を追い込んでいきたい」。生真面目な男らしく1年後の大舞台を見据えていた。

 ◆堀畑 裕也(ほりはた・ゆうや)1990年(平2)7月30日、愛知県生まれの21歳。豊川高―日体大3年。3歳で水泳を始める。09年に日本代表入りし、世界選手権は9位で予選落ち。昨年4月の日本選手権で初の日本記録4分12秒02をマーク。11月の広州アジア大会優勝。1メートル69、65キロ。

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