公益法人移行厳しく…協会改革案に独立委がダメ出し

[ 2011年6月1日 06:00 ]

評議員会を終え、会場の相撲教習所から出てきた放駒理事長(右)ら

 日本相撲協会が公益財団法人認定に向け作成した組織改革案が、外部委員で構成される「ガバナンス(統治)の整備に関する特別委員会」(独立委)から“ダメ出し”を受けていたことが分かった。同協会は31日、臨時理事会と評議員会を開き、改革案の工程表を作成し承認。今週中にも文部科学省に工程表と八百長問題の対策案を提出し、名古屋場所の通常開催の承認を得たい考えだが、それが認められても同法人への移行は厳しい見通しだ。

 組織改革の工程表は、文科省が本場所再開の条件として提出を求めていたもの。基本的には独立委の2月の答申を基に作成。外部理事を半数以上に増員する案などは、期限の目標を設定している。ただし、工程表そのものは、改革案をどのような手順でいつまでに進めていくかなどのスケジュールが主体で、具体的な内容は盛り込まれていないという。

 放駒理事長は先週末に国技館で同委のメンバー数人と極秘に会合。関係者によれば作成中の工程表の内容について“やり直し”を要求されたという。メンバーの中島隆信氏(慶大教授)はこの日「(理事長から)工程表の中身に関して相談があったが、われわれの答申の内容と食い違っていると申し上げた。(作成中の工程表では)不祥事が起こらない組織にはなっていない」と“ダメ出し”したことを認めた。  問題となったのは、高額売買されている年寄名跡(親方株)の取り扱いとみられている。同委では親方株について「金銭売買はふさわしくない」と答申。その後、同委は解散したものの、答申内容を無視した工程表では文科省の理解を得られないため、この日作成したものには相撲協会が親方株を買い取る可能性も示唆されている。

 放駒理事長は近日中にも文科省を訪れこの工程表を提出。さらに八百長問題の「処分、再発防止、全容解明」の3点セットがそろったことを報告し、名古屋場所の通常開催の承認を求める方針だ。しかし、本場所の再開が認められても、公益財団法人認定の先行きは不透明。個人財産となっている親方株を相撲協会が買い取り管理することに反発する親方衆は多く、工程表の内容を煮詰める段階で混乱も予想される。相撲協会が同法人に移行できなければ、財産没収の可能性もあるだけに成り行きが注目される。

 ▼放駒理事長 工程表は、これに向けてやりましょうということ。(名古屋場所の開催は)1日も早く決めなきゃいけない気持ちだが、まずは(文科省への)報告が先。

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2011年6月1日のニュース