把瑠都“サーカス相撲”で大関対決制し8連勝

[ 2011年1月18日 06:00 ]

<初場所9日目>怪力を発揮して日馬富士を突き倒した把瑠都に場内は喝采

大相撲初場所9日目


両国国技館)
 把瑠都が日馬富士との大関対決を“サーカス相撲”で制して2日目から8連勝を飾り、1敗をキープした。一時は土俵際まで押し込まれたが、何とか徳俵で踏ん張り逆転の押し倒し。白鵬は豊真将に横向きにさせられヒヤリとする場面もあったが、最後は豊真将を突き落として9連勝。優勝争いは全勝の白鵬を、1敗の把瑠都と琴欧洲の2大関が追う展開となった。

 “らしさ”全開の豪快な取り口で、館内を沸かせるのが「明るい大関」を目指す把瑠都の持ち味だ。立ち合いで日馬富士を土俵際まで押し込んだが、その後の攻めが少し慎重すぎた。相手に横に動かれながらうまく押し返され土俵際まで後退。徳俵に足がかかったところで「膝が入ったね。完全に…」と突然、右膝がガクリ。何とか体勢を整え、最後は握力100キロの怪力で日馬富士を吹っ飛ばし、1敗を守ったものの、支度部屋に戻ると「危ねぇ…」と思わずつぶやいた。

 報道陣に土俵際の場面について「どこの筋肉を使って残ったか?」と尋ねられると「耳の筋肉!」と冗談を飛ばしたが、まさに薄氷を踏むような勝利だった。

 前日の取組後。支度部屋から駐車場への通路で予期せぬ出来事があった。観戦に訪れた巨人の終身名誉監督の長嶋茂雄氏から「頑張って」と声をかけられたのだ。エストニア出身の把瑠都はもちろん日本に来るまでその存在を知らなかったが、テレビで姿を見るたびに絶対的なオーラを感じていた。「やっぱ凄い人。尊敬してます」という存在から激励を受け大きな力をもらった。

 6月にエレナ夫人との結婚式を日本で行うが、実はもう一つ発奮材料が増えた。相撲界への入門のきっかけをつくってくれた知人が住む鹿児島日置市吹上町に、個人後援会が発足することになったのだ。名称は「吹上把瑠都後援会」。6月に正式発足する見込みだけに、それまでに幕内優勝を果たして、恩返しをしたい思いは強い。

 初優勝を意識するか?と問われると「全然」とけむに巻いたものの、白鵬を1差で追いかける展開には「そのままいきたい」と強気。矛盾だらけの発言でおどけるのも、把瑠都が本調子に戻ってきた証拠だ。

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2011年1月18日のニュース