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ゴン、古巣磐田と初実戦も「全然ダメ。ボールにも触ってません」

[ 2015年10月12日 05:30 ]

<磐田・JFLアスルクラロ沼津>試合終了後、磐田の名波監督(左)と握手する中山(右)。奥は磐田の鈴木ヘッドコーチ

 磐田の地で、サッカー人生の第二章が幕を開けた。JFLアスルクラロ沼津は11日、J2磐田と敵地の大久保グラウンドで練習試合(45分×2本)を行い、2―1で勝利。後半39分には先月14日に加入したFW中山雅史(48)が、古巣を相手に現役復帰後初の実戦デビューを飾った。

 懐かしの大久保グラウンドで、中山が特別な瞬間を刻んだ。2―1の後半39分、DF鴇田周作(25)から託されたキャプテンマークを巻いてピッチへ。出場時間はロスタイムを含めて約8分間。一度もボールには触れられなかったが、味方の動きに合わせて何度も裏に走った。雨水を浴びながら、相手にプレスをかけ続けた。

 「全然ダメですね。ボールにも触ってませんしね。追っかけているだけという印象しかない」

 開口一番に表したのは、昔の感覚に体がついていかない「歯がゆさ」と「悔しさ」だった。「とにかくハードワークをしないと勝てないという思いはチームみんなが共有している。僕自身もできなければ、ピッチに立つ資格を得られない」。吉田謙監督(45)からは「読みや嗅覚は衰えていない。サッカー少年のよう」と評価を得たものの、自分自身にどこまでもストイックな“ゴン魂”は顕在だった。

 相手は自身が黄金時代を築いた磐田。「“勝って恩返しできれば”と思いましたが、勝ちましたからね。ジュビロさんには頑張ってほしいですね」とJ1昇格へ“上から目線”でエールを送って笑いを誘った。出場は前日10日、チームが浦和との練習試合を終えた後に決定。両膝の状態なども考慮し、時間は当初から短めに設定された。吉田監督に告げられると「やります。大丈夫です」と即答したという。浦和遠征の後には自主練習を敢行。この日の試合後も腹筋をしてからグラウンドを去った。サッカーに真摯(し)に向き合う姿は、年下の指揮官からも「生き方がぶれていない」と脱帽される。

 次なる照準はリーグ戦デビューだ。「少しでもイメージに近づいていけば、公式戦の場に立つこともなきにしもあらずかもしれない」と意欲。吉田監督も「時間数を制限するなどして話し合いながら、丁寧に進めている」と含みをもたせた。2015年10月11日、48歳のサッカー人生がキックオフを迎えた。

 ▼磐田・名波浩監督(中山のデビューを見守り)ボールを奪いたいという気持ちが、何度か(磐田の)バックパスにつながっていた。静岡県人として、県に所属するクラブでプレーしているのは凄くうれしいこと。

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