×

基本戦術にブレなし、メキシコが有利 オランダはDF陣にもろさ

[ 2014年6月29日 14:30 ]

メキシコ戦に向けて調整するオランダのファンペルシー(AP)

W杯決勝トーナメント1回戦 メキシコ―オランダ

(6月29日 フォルタレザ)
 1次リーグ最少タイ1失点のメキシコと、最多10得点の攻撃力を誇るオランダの激突。メキシコが6大会ぶりに16強の壁を破るのか、オランダの破壊力が勝つのか。見どころをサッカージャーナリスト粕谷秀樹氏に聞いた。

 今大会のメキシコはすばらしい闘いを見せている。2トップが相手のセンターバックに食いついて起点を潰し、二列目が中盤センターに襲いかかる。なおかつDFラインを高く維持してコンパクトな陣形を保っているため、ショートカウンターが非常に効果的だ。

 ただし、この闘い方は多くの運動量を要し、日程を消化するごとに疲弊する。中4日のスケジュールとはいえ、決勝トーナメント1回戦の舞台はフォルタレザで、キックオフは午後1時。気温は30度を、湿度は70%を越えるだろう。メキシコにとって歓迎すべき条件ではない。さらに、中盤の要ホセ・バスケスの出場停止(累積警告)もダメージだ。

 一方、オランダは3バック(5バック)を巧みに使い、グループリーグは3戦全勝。下馬評を覆す勢いだ。しかし、DF陣はプレスをかけられると脆い。とくにフラールは、相手FWに寄せられるだけで慌てふためくケースが、所属するアストンビラでもしばしば見られた。

 従って、メキシコはオランダの最終ラインを下げて中盤、前線との間に距離を作り、攻撃抑止を促すプラン……。すなわち今回も、ハイプレスを仕掛けてくるに違いない。

 ファンハール監督の巧みな采配は評価できるものの、オランダの攻撃アイテムはロッベンだけだ。ファンペルシーは消える時間も短くなく、スナイダーはボールロストが多すぎる。

 この勝負、基本戦術にブレのないメキシコがやや有利とみた。

 ◇粕谷秀樹(かすや・ひでき) 東京都・下北沢生まれ。「日本スポーツ企画出版社」にて週刊サッカーダイジェスト副編集長、月刊(後に月二回刊)ワールドサッカーダイジェスト初代編集長、同社の編集局次長などを経て、2001年に独立。現在は「スカイパーフェクTV!」、「Jスポーツ」などで、欧州チャンピオンズリーグ、プレミアリーグの解説者として活躍中。

続きを表示

2014年6月29日のニュース