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専門家が分析!高温多湿のブラジルW杯はザックジャパンに有利

[ 2014年5月29日 05:30 ]

練習中に給水する日本代表イレブン

 ザックジャパンは暑さに強い。W杯ブラジル大会で選手は酷暑の中でのプレーを強いられる。そこで日本協会の技術委員会フィジカルフィットネスプロジェクトのメンバーで、暑熱対策に詳しい立大コミュニティ福祉学部スポーツウエルネス学科の安松幹展教授(44)、日本代表の早川直樹コンディショニングコーチ(51)に注意点、対策などを聞いた。すると高温多湿の条件は日本に有利という結論が浮かび上がった。

 日本が1次リーグを戦う3都市はいずれも6月の平均最高気温が30度前後。レシフェとナタルは海沿いで湿度80%以上になる過酷な環境だ。それでも安松教授は「日本も高温多湿。暑い方が日本に有利と言えるのでは」と話す。根拠は3つある。

 (1)暑さに強い体質 早川コーチは「日本人は暑さに強い」と言う。安松教授によると日本人より東南アジアの人の方が活動する汗腺の数が多いというデータがある。暑い地域に住む人の方が暑さに耐性がある証拠だ。欧州勢より日本が暑さに強いのは間違いない。アフリカ、南米勢とは大差ないとみられるが、安松教授は「インターハイなど真夏に大会をやる日本人は暑い中でのプレーに慣れている」とメンタル面での優位性を指摘する。

 (2)緻密な暑熱対策 暑い地域でW杯や五輪の予選を戦うため日本協会には暑熱対策のマニュアルがある。暑熱順化、給水、冷却がその3本柱。今回は6月の平均最高気温32度の米・タンパで9日間合宿を行うため順化は万全。ベース基地イトゥは涼しいが「暑い時間に散歩するなど体に刺激を入れれば順化の効果は持続する」(安松教授)。水分補給は少なくとも15分ごとにコップ1杯程度(200~300ミリリットル)をこまめに摂取する必要があるが、そのノウハウも「日本の選手はよく分かっている」(同)。06年ドイツ大会では初戦のオーストラリア戦で気温30度の猛暑に見舞われ、終盤に運動量が落ちて逆転負けした。早川コーチは「ドイツでは気温が高くなると予想しなかったので暑熱対策を考えなかった」と証言。その教訓もあり、今回は慎重を期す。

 (3)プレースタイル 安松教授は「(パスを)回すより回される方が消耗する」と分析する。守備側は相手に対応し、一つ余分なアクションが入るため体のダメージがより大きくなるからだ。もちろん精神的な疲労も蓄積する。ザックジャパンのポゼッションサッカーは暑熱環境下でも有効な武器となる。

 日本が1次リーグを突破したのは高温多湿の日韓大会と、標高の高い会場が多かった南アフリカ大会。条件が過酷なほど日本が有利という説は既に実証されている。

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