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本田の復活を確信!「ミランラボ」最高責任者が独占激白

[ 2014年5月29日 09:30 ]

キプロス戦では低調だった本田(中央)。日本の鍵を握る男のW杯本番へ巻き返しが期待される

 サッカー日本代表FW本田圭佑(27)が所属するACミランのトレーナー、ダニエレ・トニャチーニ氏(50)がスポニチ本紙の独占インタビューに応じた。最新の科学技術を駆使して選手の体調を管理する「ミランラボ」の最高責任者でもある同氏は、不振が続く本田について言及。6月12日(日本時間13日)開幕のW杯ブラジル大会を控える中、復調に自信を示した。日本代表は29日に直前合宿地の米フロリダ州タンパへ出発する。

 27日のキプロスとの壮行試合で本田は精彩を欠いた。ACミランでのパフォーマンスを思わせる低調な内容でW杯に不安を残した。しかし、ミランラボのトニャチーニ氏には確信がある。本田を苦しめてきた不振の原因を明確に示した上でミラン加入直後からの状態を振り返り「かなり向上した。もっと良くなる」と復調に太鼓判を押した。

 トニャチーニ氏によると「異常」が見つかったのは今年1月。本田はミランラボで身体検査を受けた。新入団選手は必ず受けるテスト。結果は芳しいものではなかった。「アスリートとして高いポテンシャルを示したが、フィジカルコンディションはかなり不安定だった」。大きな不安要素は持久力だった。同氏は「車に例えるなら本田はフェラーリのパワフルなエンジンを積んでいるものの、タイヤがパンクしている状態。開始20分で全エネルギーを使い果たす状態だった」と表現した。身体能力そのものは高いが、そのパワーを効率的に使えていなかった。

 疲労と度重なる負傷で体のバランス、フォームが崩れたのが一因だ。トニャチーニ氏は「ロシアリーグの日程が変則で、あまり休息が取れていなかったことが一番大きい」と訴える。昨年6月に日本代表でコンフェデ杯に出場するなど国内リーグがない期間もプレーを余儀なくされ、疲労が蓄積した。11年8月に右膝半月板の手術を受けて以来、復帰と離脱を繰り返したことも悪影響を及ぼした。疲労のたまった部位や負傷箇所をかばってフォームが乱れ、それを繰り返すうちにパワーロスの大きな動きが体に染みついてしまったのだ。

 そこでトニャチーニ氏は、適度な休息を与えながら、体全体のパワーアップを図る「本田再生プラン」を設定。さらにミランラボが確立した「体性感覚の向上トレーニング」を取り入れた。最新の器具を使って皮膚感覚や体の内部の感覚を向上させることで、視覚や聴覚などの特殊感覚に頼らず、自分の体をコントロールする能力を高める。すると効率の良い動きができるようになり「ガソリン1リットルで3キロだった走行距離が10キロまでアップする」というわけだ。

 本田は出場機会に恵まれない中、出番がなかった試合後に走り込むなど地道にトレーニングを続けた。そのかいあってコンディションは上がってきた。ミスが多かったとはいえ、キプロス戦では4月7日のセリエA・ジェノア戦以来のフル出場を果たし、走行距離はチーム最長の9・33キロを記録。本田は間違いなく回復途上にある。コンディショニングのスペシャリストの目に狂いはない。

 ◇ミランラボ 科学と技術を駆使して選手の心身の健康管理システムを向上させることを目的に02年7月に誕生したハイテク科学リサーチセンター。選手のコンディションを向上させ、ケガやリスクに対応可能な運動能力を高める狙いがある。

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