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柏 初優勝!歴史変えた史上初の昇格1年目V!

[ 2011年12月4日 06:00 ]

<浦和・柏>優勝を決めて喜びを爆発させる柏の選手たち

J1第34節 柏3―1浦和

(12月3日 埼玉)
 柏が悲願の頂点を勝ち取った。3チームによる優勝争いは最終節までもつれ込んだが、柏は敵地で浦和を3―1で破り、初優勝を飾った。前半29分にMFジョルジ・ワグネル(33)が先制点を挙げ、同38分にDF橋本和(25)が追加点。1点差に迫られた後半31分にMF茨田陽生(20)がダメ押しの3点目を決めた。J2からの昇格1年目の優勝は史上初の快挙。2度のJ2降格からはい上がったチームは、開催国代表として8日開幕のトヨタ・クラブW杯に出場する。

 相手のチームカラーの赤に染められた埼玉スタジアムで、ネルシーニョ監督の体は4度、宙に舞った。「われわれは今季82%の割合で首位にいて、常に優勝に近い位置で戦ってきた自負はある。王者になれたことを誇りに思うし、2年間ともに戦ってきた選手に感謝している。心からありがとうと言いたい」。シャーレ(優勝皿)を手にすると、投げるふりをするパフォーマンスが飛び出すなど、普段は厳格な指揮官が手放しでチームの初栄冠を喜んだ。

 勝てば優勝が決まる一戦。先制ゴールを奪ったのはブラジル人MFジョルジ・ワグネルだった。前半29分、左CKのこぼれ球に左足を振り抜き、相手GKの左足に当たったボールはゴールに吸い込まれた。同38分には右CKのこぼれ球をゴールを背にしていたDF橋本がオーバーヘッドで決めた。2―1の後半31分にはMF茨田の思い切りの良いミドルシュートが相手GKのキャッチミスを誘ってゴールネットを揺らした。橋本と茨田はともにJ1初ゴール。強力助っ人と“伏兵”が融合して勝利をもぎ取った。

 優勝は偶然ではなく必然だった。今季開幕時点で指揮官が掲げた目標は6位だったが、実際には頂点を見据えていた。これまでの統計から34試合の総勝ち点(102)の69~70%をキープすれば優勝ラインに手が届くと分析。データを基にミーティングでは月ごとの勝ち点目標を提示してきた。選手たちは「分かりやすい」と口をそろえる。明確な目標のもとで、指揮官は目の前の一戦に集中させた。

 勝利への意識付けも徹底してきた。ある選手はJ2降格となった09年当時を「引き分けてもいいやと、どこかで思っていたところがある」と振り返るが、09年7月のネルシーニョ監督の就任から徐々に変わっていった。指揮官は「勝つために何をするべきか」としつこいまでに選手に問い続けた。結果、選手たちは練習中に考えをぶつけ合い、休みの日も次の日の練習に備えて調整するなど“戦う集団”に変貌。昨年はJ2で2位に勝ち点10差をつける圧勝でJ1復帰を決めた。

 今季は逆転勝ちが7試合でリーグ最多。さらに、敗れた8試合のあとは全て勝っている。粘って勝利を重ねるごとに、指揮官への信頼と自信が深まっていった。主力選手が欠場しても代わりに出た選手が活躍する。3試合ぶりの先発で結果を出した茨田は「誰が出ても同じような試合ができる。それがチームの総合力」と胸を張った。そして史上初のJ2→J1の“連覇”を成し遂げた。

 「きょうの(前半)45分は決定的な内容だった。失点して目を覚ました選手たちはわれわれのスタンダード、やるべきことに自ら気づき、修正した」と指揮官。就任から2年5カ月。壊れかけたチームを再生して一つの家族をつくり上げ、今後はトヨタ・クラブW杯で世界の強豪に挑む。

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2011年12月4日のニュース