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アンカー鉄棒濃厚 内村“栄光の架け橋”再現だ

[ 2012年7月26日 06:00 ]

本番の会場で初練習を行った内村

 “栄光の架け橋”の再現はエースに任せた。体操の男子団体総合で決勝の最終演技者を内村航平(23=コナミ)が務める可能性が高くなった。04年アテネ五輪団体決勝では最終種目の鉄棒で最終演技者・冨田洋之が伸身の新月面の着地を決めて日本が金メダルに輝いたが、ロンドンでは内村が名場面を再現して2大会ぶりの頂点に導く。内村ら男子の日本代表は25日、試合会場のノースグリニッジ・アリーナで初練習を行った。

 8年前の名場面を再現するのは、この男しかいない。28日の団体予選を順当に2位以内で通過すれば、30日の決勝は床運動からスタートし、鉄棒で終わる。森泉貴博コーチ(41)は「普通に考えれば、内村が(鉄棒の)アンカーでビシッと決めて勝つのがきれいでしょう」と演技順の構想を明かした。

 アテネ五輪の団体決勝の最後を締めくくった冨田の伸身の新月面は、NHKの刈屋富士雄アナウンサーの「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架け橋だ」という名実況とともに強烈な印象を残した。V奪回を目指すロンドンでは最強エースが“栄光の架け橋”をかける。

 アテネ五輪当時、内村は高校1年生。深夜テレビにかじりついて冨田の完璧な演技を見た瞬間、団体金メダルへの熱い思いが芽生えた。今でも、冨田の伸身の新月面の映像を「You Tube」でチェックしているほどだ。「冨田さんの“栄光の架け橋”をたまに見ますね。これ、俺もやんなきゃいけないのかなって思う。これ以上のものをやりたいって思う」と話したこともある。心の準備もできている。

 昨年の世界選手権の団体では、鉄棒の2番手だった田中佑が落下した後に内村も落下するなど、ミスが連鎖した。「鉄棒の1番手に内村を持って行って、点数に余裕のある状態で後ろの選手につなぐという考え方もある」と話した森泉コーチは、「直前までスタッフ間で考えることになると思う」と説明したが、現時点では内村のアンカー起用が濃厚だ。

 内村は25日、チームメートとともに初めて本番会場で練習を行った。五輪ムードも高まってきた。「団体の金メダルのことしか考えていない」。2大会ぶりの頂点へ。チームメートがつないだ好演技は、エースが完璧な着地で締めくくる。

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2012年7月26日のニュース