【密着!池江厩舎】(8)オーシャンブルーの才能と課題

[ 2013年5月24日 06:00 ]

オーシャンブルーと笑顔の山下さん

 桜井聖良の短期連載は8回目となりました。今回はオーシャンブルーについて書いていきますよ。10番人気の有馬記念で2着となり、続く日経賞では2番人気で9着となったオーシャンブルー。有馬記念をフロック視する人も多いですが、果たして本当にそうでしょうか?不可解な前走の敗因理由や普段のオーシャンを知るべく、担当の山下さんにお話を伺いました。

 ――山下さんから見て、前走の日経賞の敗因はなんだと思いますか?

 「経験不足と枠の影響もあるかと思います。あとはスムーズ過ぎたのかもしれません。馬の調子が良くて、こちらも張りきって仕上げたため、馬に気負いさせちゃったのかなと。前走はレースから戻ってきた時、息一つ乱れておらず、全く走らず終わってしまいました」

 ――ずっと見ていて思ったのですが、旋回癖(馬房の中でぐるぐる歩き回る)がすごいですよね。

 「平常心で居てくれたら大きなレースでも勝てる馬なんですけどね。まだまだ子供かな。有馬記念前はもうちょっと落ち着いていたのですが、最近またその癖が出てきちゃいました」

 ――回るオーシャンをなだめながら包帯を巻いている山下さんの姿が印象的でしたが(笑い)。

 「いつもこうなんですよ。自分の担当馬だと聞いて初めてあった時なんて、オーシャンは馬房の中を走っていましたからね。それを見た時、“ちゃんと競走馬になるかな”なんて、ちょっと思ったりしていました(笑い)」

 ――衝撃的な出合い方ですね(笑い)そういえば脚を痛めてシンガポールへの遠征を取り消したようですが、状態はいかがですか?

「馬房の中で脚をぶつけて、ちょっと痛くなった程度なんですよ。腫れたり腱やどこかを損傷したわけではありません。大したことはないのですが、シンガポールに行くとなると環境も大きく変わります。この状態で行って反動が出てしまい今年いっぱい休むとなるともったいないですからね。大事をとっただけなので大丈夫ですよ」

 ――では、次走はどのあたりで考えていますか?

 「鉄砲駆けは苦にするタイプではないので、もしかしたら宝塚記念に直行かもしれませんが、これからの馬ですし何より心身共の成長を第一に考えているので、まだはっきりとは次走は決めていないですね」

 ――さすが馬優先主義ですね!午後の仕事が終わった後も厩舎に残って、オーシャンにレーザーを当てて身体をほぐしてあげてましたね。

 「オーシャンがかわいい瞬間でもあるんですよ、すごい気持ちよさそうな表情をしてくれるでしょ?鼻を鳴らしたりして。ああ、リラックス出来てるんだなって。あのレーザーを当ててる時間が一番オーシャンと密着している時なので、貴重な時間だと思っています」

 ――オーシャンブルーの一番の持ち味はなんですか?

 「競馬が上手なところですね。インに入っても立ちまわれるし、前が開いたら自分から出ていけるんですよ。ポテンシャルはかなり高いです」

 ――これからの課題はなんですか?

 「やっぱりもう少し平常心を持ってもらうってことかな。正直、自分もまだ手探りな部分が多くあって。どうやったらもっとオーシャンの良さや魅力が引き出せるかといつも考えています」

 オーシャンに話しかけながらレーザーを当てている山下さん。「毎日が試行錯誤だよ」と笑いながら言う山下さんの表情からは愛馬への想いが伝わってきます。オーシャンとの思い出では何かありますか?との私の問いにきっぱりと「ない」との返答が。続けてこう返ってきました。「G1タイトルを獲れる馬だから、獲ってからです」。その答えに、互いの信頼関係が感じられました。オーシャンブルーの本当の意味での充実期は、これからなのかもしれません。

 次回はオルフェーヴルの意外な顔、そして父ステイゴールド、兄ドリームジャーニーとの共通点についてお話したいと思います。お楽しみに!

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 ▼桜井 聖良(さくらい・せいら)タレント。競馬予想で来ない人気馬・来る穴馬を選ぶのが得意で、生放送番組でWIN5と予想したメーンレースを全的中させた経験を持つ。2011年から1年半、馬の勉強をする為オーストラリアに留学し、馬のマッサージが特技となった。尊敬する人物は大川慶次郎さんで、憧れる人物は鈴木淑子さん、原良馬さん。

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