【天皇賞・秋】ルーラーシップ 母子制覇へ上々仕上がり

[ 2012年10月25日 06:00 ]

<天皇賞・水曜調教>CWコースで、3頭併せで追い切る(左から)ルーラーシップ、トーセンパワフル、ハーキュリーズ

 「第146回天皇賞・秋」の追い切りが24日、栗東トレセンで行われた。国内G1初制覇を目指すルーラーシップは3頭併せで“余裕の”半馬身遅れ。騎乗したメンディザバル騎手(38)の手綱は終始持ったままでラスト1F11秒7と悪い馬場の中、文句なしの時計をマークして仕上がりの良さをアピール。母トウメイ(71年)=子テンメイ(78年)以来となる34年ぶり母子制覇へ万全の態勢を整えた。なお、同レースの出走馬、枠順は25日に確定する。

【天皇賞・秋】

 ルーラーシップに騎乗したメンディザバルの手綱は、最後まで微動だにしなかった。もう追う必要はない。感触を確かめるだけで十分だった。

 最終リハーサルはCWコース。ハーキュリーズ(4歳1000万)、トーセンパワフル(2歳500万)の最後方を追走しスタート。2馬身間隔の隊列から、直線は最内に進路を取ると一気に前2頭に半馬身差まで迫った。だが、そこから派手なアクションはない。馬なりのまま、半馬身遅れでフィニッシュした。それでいながらラスト1Fは11秒7と極上の切れ味を見せた。

 引き揚げて来た鞍上は笑顔で角居師に報告。「前回乗った時(昨年の有馬記念4着)よりもメンタル面で大人になった」。指揮官も「ゴール板を過ぎてからも反応を見てもらったが、いい動きだった」と納得の表情だ。

 昨年はこのレース2週間前に爪の不安で回避。「跳びが大きくパワフルな走りをするしリスキーな面がある馬。牧場でも脚元の不安との戦いだったが、順調に調整できた」と角居師は前走の宝塚記念(2着)以来となる“ぶっつけ”でも、不安がないことを強調した。

 その宝塚記念は凱旋門賞2着オルフェーヴルの2着。師は「自信を持って送り出したが、相手が強かった」と振り返る。続けて「あとの(G1)レースになれば、オルフェが出てくる。今回が一番タイトルに近いと思う」と気合を入れた。

 世界に目を向ける厩舎は過去2回、海外遠征を経験させた。昨春はドバイシーマクラシック6着、今春は香港のクイーンエリザベス2世Cで待望のG1制覇を飾った。

 「違う環境で調整するには、お互いを信頼し合わないといけない。人馬のコミュニケーションが深まる。ドバイの時は掛かってしまったが、それ以降は折り合えている」

 デビューから注目を集めた超良血馬。97年にこのレースを制した母エアグルーヴに続く、母子制覇の期待もかかる。師が「日本を代表する血統。国内G1の勲章を獲って生産に送り出したい」と意気込む一戦。陣営の青写真通り、万全の態勢が出来上がった。

 ≪04年に歴代年間最多の220勝≫イオリッツ・メンディザバル(38)はスペインで生まれ、94年にフランスでデビュー。歴代年間最多の220勝を挙げた04年に続き08~10年にも同国のリーディングを制覇。JRAのワールドスーパージョッキーズシリーズ(阪神競馬場)に3回参戦し、08年に初優勝。昨年は短期免許で来日し、ファンタジーS(アイムユアーズ騎乗)でJRA重賞初制覇。

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2012年10月25日のニュース