アマ強豪の小山怜央さん 棋士編入試験第1局で今年度勝率1位の徳田四段を破る 5局中3勝で棋士に

[ 2022年11月28日 18:53 ]

棋士編入試験5番勝負の第1局で勝利した小山怜央さん(日本将棋連盟提供)
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 将棋の全日本アマ名人戦などを制した小山怜央さん(29)が28日、大阪・関西将棋会館で棋士編入試験5番勝負の第1局に臨み、試験官の徳田拳士四段(24)に166手で勝利した。3勝すれば合格となり、順位戦のフリークラスへの編入資格を得る。3敗すれば不合格となる。

 振り駒の結果、先手は徳田で戦型は両者の得意戦法・角換わりになった。銀矢倉に組み、飛車を6筋に転回させた徳田に対し小山さんは72手目、飛車を2筋へ。その後、飛車を成って攻勢に出た。小山さんが攻め、徳田が受ける展開が長く続き、142手目、竜を捨てて徳田馬の利きをそらす鮮やかな決め手から抜け出した。

 終盤、徳田王に入王されかけた。「後悔していたが気持ちを切らさず指せた」。白星発進の結果については「1局目は勝敗に関わらず内容が大事と思っていた。力戦にできていいスタートが切れた」と手応えを見せた。

 小山さんは9月に行われた朝日杯の中川大輔八段戦で勝利し、直近の公式戦成績を10勝5敗として棋士編入試験の受験資格「公式戦で10勝以上かつ勝率6割5分以上」を満たした。現行制度になって今泉健司五段(49)以降4人目の受験者で初めて、棋士養成機関である奨励会を経ない挑戦。岩手県釜石市生まれの小山さんは小学2年で将棋と出合い、高校、大学、社会人とアマ棋界での活躍を経て同試験の受験資格を得た。

 小山さんが立ち向かうのは新しく四段に昇段した5人で、徳田、岡部怜央四段(23)、狩山幹生四段(21)、横山友紀四段(22)、高田明浩四段(20)。里見香奈女流5冠(30)が8月以降、同試験に挑み3連敗で不合格になった試験官5人と同じで、とりわけ徳田は今春の四段昇段後の今年度勝率が対局前で・871(27勝4敗)を誇った。

 全棋士中トップはもちろん、デビュー以来毎年8割超の勝率を残す藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖を含む5冠=の過去5年、中原誠16世名人(75)が1967年に残した・855(47勝8敗)の歴代最高勝率までも今年度が残り4カ月になっても上回る大型新人。岡部との第2局は12月12日、東京・将棋会館で行われる。

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