NHK「うたコン」見て思う 紅白どうなる?

[ 2020年6月11日 11:00 ]

谷原章介(左)と赤木野々花アナウンサー(右)が司会を務めるNHK「うたコン」のアイキャッチ(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】NHKの音楽番組「うたコン」(火曜後7・57)が9日、東京・神南のNHKホールから生放送された。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、同所からの生放送は3月31日以来70日ぶり。まずは無観客での再開となったが、番組通常化への一歩を踏み出す形となった。

 番組では冒頭、司会の谷原章介と赤木野々花アナウンサーがステージを背に無人の客席に立って登場。谷原は満面の笑みで「2カ月ぶりにNHKホールに帰ってくることができました。まだお客さんを迎えることはできないのですが、生の演奏、生の歌唱で、テレビを通して皆さんとつながれることをうれしく思います」とあいさつした。

 トップバッターで歌った氷川きよしは「やはり、この広いホールで大きな声で歌うと気持ちいい」と率直な感想。番組の最後には谷原が「やはり、生は最高。あらためてNHKホールのありがたさを思い知りました」と締めくくった。

 NHKホールと言えば、年末恒例の「紅白歌合戦」の会場。一昨年、サザンオールスターズがラストに登場して「勝手にシンドバッド」などを披露し、北島三郎や松任谷由実ら出演者をまじえて史上空前の盛り上がりを見せた場所でもある。

 現時点では紅白について何も発表されていないが、例年通りなら、この会場で開催されることになるだろう。問題は、今後の新型コロナウイルス感染の状況。収束すれば良いが、状況次第では開催の可否や、無観客での開催、その他の方法を検討しなければいけなくなる。

 NHKホールは1972年に完成した建物で老朽化。天井の耐震補強、設備更新工事を行うため、2021年3月から22年6月まで休館になる予定だ。21年の紅白に関しては既に東京・丸の内の東京国際フォーラムで開催されることが発表されている。つまり、今後の感染の状況によっては2年連続でNHKホールが紅白の会場でなくなる可能性があるわけだ。

 紅白なんてどうでも良いと思う人もいるだろうし、会場や放送形式なんてどうでも良いと思う人もいるだろう。けれど、小学生の頃から大みそかにNHKホールでの紅白の生放送を見続けてきた人間としては、それ以外となると、やはり寂しさを覚える。

 16日の「うたコン」も無観客のNHKホールから生放送される予定。出演者には加山雄三、丘みどり、純烈らが名を連ねている。この番組がいつの日にか観客を入れての生放送となり、それが順調に年末まで続いていくことを願わずにいられない。

 ◆牧 元一(まき・もとかず)1963年、東京生まれ。編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。

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