錦織メダルの陰に“癒やしの時間” ヌジャベスさん楽曲に再脚光

[ 2016年8月16日 09:26 ]

販売元のユニバーサルミュージックに贈られた錦織圭直筆サイン入りの選曲集「ケイ・ニシコリ・ミーツ・ヌジャベス」。ジャケットには錦織のお気に入りカラーのオレンジと青を採用

 日本テニス界に96年ぶりのメダルをもたらした錦織圭(26)が試合前にいつも聴く早逝の日本人アーティストがいる。ジャズを元にした独特のヒップホップ音楽を作り続けた「ヌジャベス」だ。国内外で評価されながら2010年に交通事故で36歳の若さで他界したが、錦織の歴史的勝利で再び脚光を浴びそうだ。

 錦織の快挙を祝福したのは、ヌジャベスさんの父で音楽活動をするためのレーベル「ハイドアウト・プロダクション」の代表。深夜のテレビ中継で熱戦を見届け、「3時間も胸をバクバクさせながらの観戦でした。朝明けとともに“錦織選手万歳!”と叫びました」と喜びを爆発させた。

 今年2月に発売されたアルバム「Kei Nishikori meets Nujabes」は錦織がヌジャベスさんの楽曲群から選んだ17曲を収録。半年前の作品だが、関係者は「錦織選手が銅メダルを獲得してからiTunesなど楽曲配信のチャートで再び上昇を始めました」と、スマッシュヒットの予兆を感じている。

 ヌジャベスさんは生前、ヒップホップの音楽プロデューサーとして活躍。美しく切ないメロディーが特徴で、パリコレクションでは有名ファッションブランド「コム・デ・ギャルソン」の音楽を手掛けるなど海外からも高い評価を受けていた。

 交通事故で不慮の死を遂げてから6年。その存在が今もなお色あせないのは錦織の存在が大きい。錦織は江戸時代を舞台にヒップホップ文化を取り入れたアニメ「サムライチャンプルー」の音楽でヌジャベスさんを知り、「心が穏やかになり、落ち着く」と試合前に聴くようになった。14年には全米オープンで準優勝し、帰国後に応じたテレビインタビューで「僕が好きなアーティストはヌジャベス」と公言。双方のファンがツイッターで拡散するなど大きな話題になった。

 「音楽はテニス人生に欠かせない」と言う錦織。ヌジャベスさんの父は「疲れた心と体をヌジャベスの音楽で、ゆっくりと癒やしてください。彼とともに今後の活躍を見守っております」と称えた。

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2016年8月16日のニュース