WOWOWドラマ「この街の命に」大げさではなく冷静にタブーを描く

[ 2016年3月31日 07:18 ]

ドラマW「この街の命に」完成披露イベントに出席した(左から)岡山天音、戸田恵梨香、加瀬亮、黒田大輔、篠原篤

 WOWOWのドラマ「この街の命に」が4月2日から始まる。犬猫の殺処分に直面する行政獣医たちの葛藤と再生の物語だが、同局は今回も地上波放送では扱いにくいテーマを、大げさではなく、冷静に描く姿勢を貫いている。

 日本国内で1年間に殺処分される犬や猫は10万頭を超え(環境省、2014年度発表)、多くが自治体で殺処分されていることを知っている人も約9割に達する(「犬猫の飼育と殺処分に関する意識調査」ネオマーケティング調べ)。ニュースなどでは耳にする話だが、それをドラマの1シーンでも描いたケースはほとんどない。

 ドラマについて緒方明監督は「もともと動物が好きでこの仕事についたはずなのに動物を処分しなければならないという矛盾。悲しみ、怒り、あきらめ、切なさ、やりきれなさ、開き直り、などなど複雑な感情を体にしまいこんで日々を営む人々の物語」と説明。その上で「俳優に演出するにあたっては単純な喜怒哀楽を演技で表現することをさけ複雑な感情の機微をそれぞれの俳優に要求した」と、簡単には割り切れない気持ちの揺れを表現することに留意したことがうかがえる。

 動物の命を救うためにいるはずが、捨てられた犬や猫を殺処分する業務を法律に従って行う獣医を演じるのは俳優の加瀬亮(41)と女優の戸田恵梨香(27)。人気を博したドラマ「SPEC」シリーズ以来の共演となるが、加瀬は脚本を読んだ感想として「丁寧に書かれていて、淡々とした静かな話だと思った。 結論をいそがずに、声高に何かを叫んでいない」。一方の戸田は「台本を読んだ時には戸惑ったが、一人でも多くの人に事実を知ってもらうべき題材」と話した。

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2016年3月31日のニュース