【偽装の夫婦】天海祐希が“毒舌”司書 遊川脚本巧みな伏線 ピアノ音楽◎

[ 2015年10月7日 12:00 ]

「偽装の夫婦」の1場面(左から沢村一樹、天海祐希)(C)日本テレビ

 女優の天海祐希(48)が主演を務める日本テレビ「偽装の夫婦」(水曜後10・00)は7日、10分拡大でスタートする。

 大ヒット作「家政婦のミタ」やNHK連続テレビ小説「純と愛」などで知られる脚本家・遊川和彦氏の最新作。遊川氏は脚本家デビュー30周年、連続ドラマ30本目の記念作。天海とのタッグは「女王の教室」(2005年7月クール)で賛否両論を呼び「演歌の女王」(07年1月クール)以来約9年ぶりとなる。

 図書館司書の嘉門ヒロ(天海)は45歳、独身。大学時代の失恋を機に、心を閉ざし、人間嫌いに。本の世界に逃げ込んでいる。ある 日、ヒロは図書館で幼稚園児に絵本の読み聞かせをし、その幼稚園の園長代理・陽村超治(ひむら・ちょうじ)(沢村一樹)と出会う。この超治こそが、ヒロを振った相手。25年ぶりの再会だった。

 その夜、ヒロは超治から頼み事があると喫茶店に呼び出される。ヒロが25年前の別れの理由を問うと、超治は自身がゲイだと告白。そして、余命半年と宣告された富山にいる母・華苗(富司純子)を安心させるため、偽装結婚してほしいと申し出る…。

 ドラマはヒロの朝の身支度、通勤風景から始まる。バスの中でイチャつくカップルへの「おいおい、ここはおめ~らの家じゃねえぞ」など、毒を連発するが、これはヒロの心の声。天海の声とテロップで表現される。最初はどうかと思われた手法だが、終盤、効いてくる。

 穏やかな笑みをたたえながら、周囲に悪態をつく“心の闇”を抱えたヒロを天海が好演。ヒロを覆う“氷の壁”を必死に解かそうとする超治の底抜けの明るさを沢村が体現している。

 遊川氏は「今の時代、自分の意見を主張したり、個性を出してはいけないと自分に呪縛をかけている人が多い気がします。自分らしく生きることで、周りの人を幸せにし、この息苦しい世界をよいものにできないかという願いを込めて、このドラマを送ります」とコメント。奇抜な設定で視聴者の興味を引き「自分らしさとは?」「本当のパートナーとは?」という普遍的なテーマへの落し込みは見事としか言いようがない。

 連ドラ初回としての伏線も巧み。工藤阿須加(24)の登場の仕方に思わずニヤリ。

 ヒロの心情を表すようなピアノがいい。ピアニストで作曲家の平井真美子氏が音楽を担当。数々の映画・ドラマ・CMなどを手掛け、2012年には新進気鋭のアーティストに贈られるアメリカの「S&R  Washington Awared」を受賞している。

 演出は映画「白夜行」「神様のカルテ」「トワイライト ささらさや」、NHKBSプレミアム「ボクの妻と結婚してください。」などの深川栄洋氏ら。

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