阿川佐和子さん、亡き父への思い語る「薄々、心の準備をしていたけど…」

[ 2015年8月7日 21:31 ]

父・弘之さんへの思いを明かした阿川佐和子さん

 エッセイストの阿川佐和子さん(61)が、老衰で3日に亡くなった父で作家の阿川弘之さん(享年94)について7日、新潮社を通じてFAXでコメントを発表。父への思いを告白した。

 「皆様へのご報告が遅くなり、まことに申し訳ありません。すでにご承知のことと存じますが、今月8月3日(月)22時33分、父、阿川弘之が都内の病院にて老衰のため、息を引き取りました。満94歳でした」とはじめ、「12年はじめより都内の老人病院に入院。しかし頭は最後までかなりしっかりしており、その後大腿骨を骨折して寝たきりの状態になったものの、毎日リハビリに励み、病室ではビール、日本酒を少々(大変に融通の効く病院であります)、娘が持ち込んだ好物の鰻、すき焼き、フカヒレなどを食し、文庫本を読むという生活を続けておりました」と入院生活中のエピソードを明かした。

 弘之さんは亡くなる前日に阿川さんが持参したローストビーフをたいらげ「次はステーキが食べたい」と笑っていたそうだが、翌日3日の午後、突然消化器官上部から下血をして呼吸も困難になり息を引き取ったという。

 最期を看取ったのは長男・尚之氏と自宅で両親の世話をしていた夫婦。阿川さんは仕事、87歳の母は膝の手術のため入院中で、弘之さんの最期に立ち会うことができなかった。「兄によると、痰を吸い取る機械を入れた際、『苦しい』と言ったのが最後の言葉で、それ以外はさほど苦しむこともなく、大変穏やかに安眠したということです」と説明した。

 「子供として、もっとこうしてあげればよかったか、など、後悔は多々ありますが、しかし身体が弱り切っても、頭の中は『うまいものが食べたい』という意欲を捨てなかったのは、いかにも父らしく、立派な大往生だったと思っております。薄々、心の準備をしていたといえ、やはり家族にとっては突然のことと思われ、さまざまな対応が不行き届きになり、ご迷惑をおかけしたことを改めておわび申し上げます」と父を亡くした悲しみ、そして父への思いをつづっていた。

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2015年8月7日のニュース